「とある科学の超電磁砲S(TVアニメ動画)」

総合得点
88.9
感想・評価
3560
棚に入れた
20762
ランキング
97
★★★★☆ 4.0 (3560)
物語
3.9
作画
4.1
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.1

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ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

とある科学で中間報告

原作未読

禁書目録1期→超電磁砲1期→禁書目録2期→そして今ここ。放送時期順にリレーしてます。どれも2クールなんでこれ終わったら100話分っすよ。

軽く回想。

★禁書目録1期

魔術と科学の話を交互にやるのね
いい大人が観るもんではないかな
ラノベの主流なら社会勉強で継続

★超電磁砲1期

科学の話に絞ってるのでみやすい
固定メンバーだからわかりやすい
キャラの棲み分けがある種理想的

★禁書目録1期

挿話は交互ではなく魔術に寄せた
ラストは科学と魔術が交差してた
着実に歩を進め手堅い構成を評価
それでもキャラ薄い主役に飽きも


超電磁砲オンリーでも楽しめなくもないけど、潔癖症なら全部いくべきですね。本家あっての分家というのをわかるネタがところどころ散りばめられてます。
それがある意味花開くのが本作2期。禁書目録の主役上条さんから超電磁砲の主役御坂さんに視点を移して、禁書目録1期で繰り広げられた物語をあらためてやります。これがすこぶる良い。
{netabare}ただしこれが#1~#16のロングエピソード。これまで長くても6話くらいで一区切りつけてたのをシリーズ屈指の長さでした。なお元ネタのほうは5話分の尺です。夜半、#8くらいで「一区切りついたら寝よ」と思ったら#16まで。おかげで寝不足でした。{/netabare}

相変わらず禁書目録より超電磁砲の評価は高め。思うに“台本”と“芝居”で牽引役いるのが大きいかと。
“台本”は脚本家さんなんでしょうけど元は小説から引っ張ってきてるのでしょうね。御坂シスターズのセリフ回しが秀逸です。小説原作でたまにみかける「説明をキャラにさせ過ぎる」ことがなく、小説原作の強みである「巧みな言葉使い」がそのまま出てる感じがして嫌みがないです。
“芝居”は白井黒子(CV新井里美)が突出してます。単に百合で片付けるのは惜しい人材には違いありません。勢い一辺倒にならず、御坂美琴に打ち返された時の幅が広いったらありゃしない。たまに入る低いトーンが好きでしたね。久々に余人をもって代え難い声優と感じた新井さんでした。

そんな武器を手に繰り広げられる物語は大きく二本立て。きちんと二本に繋がりのあることとそれに相変わらずのわかりやすさは健在。メッセージもポジティブでした。

{netabare}ひとりで闘うドラゴンクエストⅠから馬車付きマルチパーティのドラゴンクエストⅣへと進化したような話だと勝手に思ってます。ほら、はじめてサマルトリアの王子を仲間にした時とてつもなく嬉しかったじゃない?{/netabare}


超電磁砲(レールガン)の続編とみたら、今のところ失速のようなものを感じません。このまま突き進んじゃえーって思うし3期ももちろん視聴しようかと思います。難点はここまでで充分長期シリーズとなっていて、ゼロからだとけっこう“どっこいしょ”ではあります。
自分のモチベーションはなにか?と問われれば、「苦手なラノベものとは言え49巻も続いてる巨塔には何かあるだろう」との期待です。ラノベもんなにかないかな~という時に外せない一品なのではないでしょうか。良作だと思います。



※ネタバレ所感

■おー懐かし~

明貴美加氏

メカデザインとのこと。EDテロップでみかけてこのお名前なにか引っかかるところがあって調べてみたら30年近く前に好きだった作品のメカデザインされてた方でした。恐るべし10代の頃の記憶力。

{netabare}『サイレントメビウス』誰か知ってる人おる?{/netabare}


■ゲコタって何者?

{netabare}御坂妹は缶バッヂを大事にするし、フェブリは指人形にご執心です。{/netabare}


■つまりこういうこと

『友達だから』2期のキーワードです。いいですよね、友情。

{netabare}たぶんこの例え抵抗のある方もいるでしょうが

「この人のためなら死ねる」

って関係性なんでしょうね。美琴というより黒子にそれを感じます。
どこだったか、美琴の抱えてるものの大きさを黒子が知りつつも黙って送り出そうとする場面がありました。ただ「黒子はここにいます」とだけ伝えて。彼女の覚悟が打算でないことは見ていてわかりますよね。

{netabare}『思いを貫き通す意思があるなら、結果はあとからついてきますわ。』{/netabare}

これです。
対する受け取り手の美琴は覚悟決めてる部下の思いに応える別種類の覚悟が求められてました。この逡巡を見守ったのがレールガン2期だったといえます。
なんとなく盛田昭夫と井深大。本田宗一郎と藤沢武夫。森永太一郎と松崎半三郎。こんな関係に似てるかなと思ってみたり。単体で有能ですのである程度は一人でもいけたでしょう。ただしひと皮向けるためには異なる職能も結び付けて動かしてく必要がある。いばらの道であればこそ信頼がなければ一緒には出来ません。大業であればあるほどついてくのも任せるのも覚悟が求められますよね。

結局は白井黒子はもちろん佐天さんも初春も動き獅子奮迅の活躍をします。
事を進めるに学園都市No.3の実力は必要不可欠。しかしそれだけでは成就しない。
1期だって、佐天さんがコントロールルームの機器類をバッドでぶっ壊して形勢大逆転したじゃないですか。周りからみれば「水くせぇな~。もっと頼ってくれよ。」ってところですが、あくまで美琴を見守っていた仲間たち。そんな展開が自分好みでした。{/netabare}


↓関連した無駄話(読まなくてOK)

{netabare}学園4位の通名がアレだってこともあるんですけど、思い出したのは福島第一原子力発電所の元所長吉田昌郎氏でしょうか。氏に対して批判的なスタンスの方は以下読まない方がよろしいかと思います。

【2013.08.21 nippon.com 門田隆将氏記事より】
{netabare}(前略)吉田さんは、いち早く自衛隊に消防車の要請をし、海水注入のためのライン構築を実行させ、1号機の原子炉格納容器爆発を避けるための「ベント」(格納容器の弁を開けて放射性物質を含む蒸気を排出する緊急措置)の指揮を執っている。空気ボンベを背負ってエアマスクをつけ、炎の中に飛び込む耐火服まで身に着けての決死の「ベント作業」は、すさまじいものだった。

その決死の作業を行った部下たちは、私のインタビューに、「吉田さんとなら一緒に死ねる、と思っていた」「所長が吉田さんじゃなかったら、事故の拡大は防げなかったと思う」。そう口々に語った。自分の命をかけて放射能汚染された原子炉建屋に突入する時、心が通い合っていない上司の命令では、“決死の突入”を果たすことはできないだろう。

吉田さんは、彼らが作業から帰ってくると、その度に一人一人の手をとって、「よく帰ってきてくれた! ありがとう」と、労をねぎらった。

テレビ会議で本店にかみつき、一歩も引かない吉田さんの姿を見て、部下たちは、ますます吉田さんのもとで心がひとつになっていった。吉田さんらしさが最も出たのは、なんといっても官邸に詰めていた東電の武黒一郎フェローから、官邸の意向として海水注入の中止命令が来た時だろう。「官邸がグジグジ言ってんだよ! いますぐ止めろ」

武黒フェローの命令に吉田さんは反発した。「なに言ってるんですか! 止められません!」

海水注入の中止命令を敢然と拒否した吉田さんは、今度は東電本店からも中止命令が来ることを予想し、あらかじめ担当の班長のところに行って、「いいか、これから海水注入の中止命令が本店から来るかもしれない。俺がお前にテレビ会議の中では海水注入中止を言うが、その命令は聞く必要はない。そのまま注入を続けろ。いいな」。そう耳打ちしている。案の定、本店から直後に海水注入の中止命令が来る。だが、この吉田さんの機転によって、原子炉の唯一の冷却手段だった海水注入は続行されたのである。(引用ここまで){/netabare}{/netabare}


{netabare}一人で臨んだ第一回メルトダウナー戦では矢弾尽き果て痛み分けでした。仲間と臨んだ第二回メルトダウナー(擬似)戦ではご本家麦野沈利(CV小清水亜美)の協力もあったりで圧勝です。{/netabare}

{netabare}朝焼けのビル屋上シーンの対比が印象深い。

「世界とはこんなにもまぶしいものだったのですね」

御坂妹のこの一言でマインドを変えた布束砥信(CV葉山いくみ)と御坂美琴との決意の屋上。一人抱え込んだもの同士悲壮感すら漂ってました。
転じて“STUDY”との決戦前の夜明け。フェブリと共に屋上にやってきた御坂美琴の顔は晴れてました。ひと皮むけましたね。{/netabare}


物語は着実に進行してます。



視聴時期:2020年5月

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2020.06.13 初稿
2020.12.12 修正
2021.07.25 修正

投稿 : 2021/07/25
閲覧 : 793
サンキュー:

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