森可成 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
その時歴史は動いた
もう日本はBAに戻ることはありません。
BAはbefore azumangaの略です。
日常系女子高生コメディという
大ジャンルの産みの親といっても
過言ではないのが、
「あずまんが大王」です。
メインキャラクターとなる生徒は6人、
小学校から飛び級の天才、かついい子、ちよ。
シュールボケキャラ界のレジェンド、大阪。
ウザバカキャラの基準点、智。
ツッコミ役の鑑、暦。
実は主役だろと思わされる、榊さん。
ガサツかわいい、神楽。
これと、
ダメ教師ゆかり、まとも教師にゃも、変態教師木村
が過ごす高校生活3年間を描くストーリーです。
身も蓋もない話をすると、
マンガの方がお薦めです。
動きと声が付くと作品の良いところが薄まり、
悪いところに目がいきがちになる典型的作品
だからです。
どう表現したものか。
原作者のあずまきよひこ先生の作品を
読んだことがある方なら
何となくわかってもらえると思うのですが、
セリフや絵で表現されずとも、
作品全体の雰囲気が伝わってきます。
実際、あずま漫画は空気系などと言われたりもします。
存在が軽いんじゃなくて、
作品の空気感、世界観が感じられるって意味です。
そしてこれをどう感じるかは、
マンガであれば完全に読者主導です。
全く感じない人もいるでしょうし、
1ページ目で強く感じる人もいるでしょう。
しかしアニメではそうはいきません。
セリフの間やニュアンス、動作が
確定された情報として与えられてしまいます。
雰囲気が固定された上で明示されてしまう。
これは、あずま作品を楽しむ上では
デメリットです。
「よつばと」がアニメ化を
熱望されているにも係わらず、
あずま先生がGOサインを出さないのは
「あずまんが大王」でこれを
感じたからじゃないかと思います。
とはいえ、それを考慮に入れても
今なお鑑賞には十分値すると思います。
特に大阪に勝るボケキャラを
未だに私は知りません。
関西弁癒しキャラでありながら、
毒舌キャラでもあり、
かつ、カオスに満ちたボケをかましてくれます。
他に類例のない孤高のポジションです。
ああ、敗北が知りたい。
この作品を見ると様々な作品が、
いかに影響を受けたか、よく分かると
思います。
電波ソングの中興の祖でもあります。
作詞・作曲 畑亜貴。
畑先生の快進撃はここから始まりました。
そういう意味でも歴史的な作品なのです。