ふぁんた さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
時と愛を織る人
時間と愛を紡いでいくことをテーマにした本作。
不老長寿のイオルフと人の人生時間の大きな違い
生きることの儚さ。
それを長命ゆえに幾度も何世帯にも渡って見送る定めの悲しい種族。
あの花の岡田麿里さんの初監督作品。
ちょっとタイトルがあの花同様ナイーブすぎて、
なんとなく敬遠していました。
いやー、、、大号泣でしたよ。
声に出してここまで泣いてしまったのはヴァイオレット以来じゃないかな。
たった2時間とは思えないような濃密なストーリーと人物描写。
特にエリアルの成長に伴う精神の変化はとても丁寧に描かれます。
ストーリーの背骨がしっかりしていてブレないので
劇への没入感が非常に強いです。
すごいなと感じるのは、ちょっとしたエピソードがしっかりと後の話に返ってくるんです。
例えばディタの子供の頃のエピソード。
{netabare}最後エリアルに謝ったあの涙は、マキアが手助けをしてくれたからではなく、
自らが人の親になって、自分たちの最大限の愛情を注ぐ子供が、
親のことを嫌いなわけがないと理解したのであろうし、
好きでいてほしいという願望を自らも持ったからでしょう。
当たり前であり、とても崇高な親子関係を幼稚な嫉妬で打ち壊そうとした自分が卑しく思えたんでしょうね。{/netabare}
このシーンボロボロ泣いてしまいました。
主軸2人の女の子の母親としての対比。
{netabare}産んで育てることができなかったレイリアと
産まずに継母として育てたマキア。{/netabare}
それぞれの母の愛情の深さを感じることができます。
レイリアが{netabare}産んだのにも関わらず育てることもできなかったことは、
見事にマキアとの裏表になっています。
主ストーリーはマキアですが、レイリアのそれがあるからこそ、
エリアルとの関係が血の繋がりだけが親子にするのではなく、
心の繋がりも親子の強い絆になることを紡いだのだと感じることができます。{/netabare}
クライマックスの戦争のシーンは{netabare}出産とオーバーラップしながら
エリアルの戦闘シーンだったので、
こちらで新しい生命が芽生え、あちらでは消えるのかとソワソワしました。{/netabare}
水辺での{netabare}「母さん!」{/netabare}はもうこれでもかと追撃がくるような涙腺崩壊でした。
本当はずっと言いたかった言葉だったんだろうなと。。
エピローグパートでもこれでもかと涙腺攻撃をされて、
劇終了後の余韻は素晴らしく、感情を本当に揺さぶられました。
最後のシーンがあったからこそ、イオルフの長命の設定が生かされ、
人との生きる時間の違い、悲しさと、
人生の儚さをを感じることができる素晴らしい締めです。
そして愛を紡いだ結果は子供、孫、、と繋がっていく。
苦しいだけじゃない別れを経験したイオルフの人々は
今後どのような愛を織っていくのでしょうか。
PAの作画はさすが本当に美しく最高にこの物語を演出してくれました。
この物語に出会えて心から感謝します。
本当に思春期の子はいつまでもこじらせないで、
お母さんを大切にしてあげてください。
私も手を合わせておきました。