ワドルディ隊員 さんの感想・評価
2.5
物語 : 2.0
作画 : 5.0
声優 : 2.0
音楽 : 2.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
2019年最も話題になったアニメ映画
おそらく、日本人のほとんどが知っている
アニメ映画ではないだろうか。私もその一人だ。
ただ、このアニメは映画館で観たいという感情は
一切出てこなかった。
その理由は下記に後述する。
ちなみに、このレビューは酷評気味に書いてあるので
・天気の子を見てないとは時代遅れか?。
・天気の子を見てないなんて損してる!などといった
過激派の方は見ないことを推奨する。
あらすじに関しては他の方がレビューを書いているので
それを参照したほうがいいだろう。ここに書かなくても
知っている人は多いだろうし。
このアニメ映画の非常に良かった点は神々しいと言えるレベル
に仕上がっている作画のクオリティであろう。
100分以上にわたりここまでの作画を維持し続けられるのは
素直にすごいと思う。そのため、作画は5点満点という評価。
ここからは個人的に気になった点を挙げる。(ネタバレ含む)
新海アニメ恒例の自分語りや尺稼ぎは、何ら変わりなくむしろ通常営業。
というか、これがないと新海作品とは呼べない。
もし周りに新海映画初見の方がいたら
「これはね、新海さんが作中で常日頃行っている伝統行事だよ」と
伝えておこう。
自分自身、この一言がなかったばかりにしんどい思いをしてきたので、
これがあるだけで気持ちの持ちようがかなり変わるはず。
君の名は。と同様に、RADWIMPSはかなりの頻度で流れる。
確信犯だなと疑われても仕方ないレベルで挿入される故に、
RADWIMPSファンからすると無意識に涎が出てもおかしくはない。
ただ、本当にくどいので賛否両論であることに変わりない。
主要人物を通して常々「RADWIMPSMVのお時間がやってまいりました」
とアナウンスしているようなものなので、半場諦めているような状態だ。
ぶっちゃけ、止めて欲しいけど。
君の名は。よりも主要人物に関してのバックボーンがかなり
省かれているように感じられた。ヒロインである陽菜とその弟
凪が二人で暮らしている、母を亡くしていたという描写はあったが、
それ以降踏み込もうという意思は見えなかった。
主人公の帆高に至っては、家出をした理由が非常に淡々としており、
納得のいくような経緯は見られない。終盤になっても曖昧にされ
結局わからずじまいという有様。あの結末にしたのであれば、
尚更描くのが妥当だと私は思うのだが、どうやら制作スタッフの中では
タブーとして扱われているようだ。いわゆる大人の事情というやつか。
宣伝に費用をかけすぎた代償だと自らを納得させることにした。
(要は只のこじつけである。)
雲のむこう、約束の場所でも目にしたのだが、銃を使用する
場面がかなり多い。余りの多さから、新海作品の中でも登場頻度は
恐らく一位であろう。
やっぱり、本心では銃のアクションシーンを取りたかったんだなあ。
これでまた、自分の夢を一つかなえられて幸せだね☆
まあ、色々と無理やりすぎるけど。
銃を拾う場面から違和感のオンパレードなので、これを
難なく受け入れられる方は、新海監督にぞっこんほれ込んでいる
ことがうかがえる。
序盤に関しては、正当防衛かなと思えるような描写なので
(なんとか)納得できるが、警官にも銃を向けるのは首を傾げた。
一応、それに関しての理由が彼の口から明かされるが、
これは反感を受けても仕方ないと思わざると得なかった。
今までに彼の作品を何本か観てきたので、予想以上に抵抗意識
は芽生えなかったのだが、彼の上司にあたる須賀の対応には
流石に( ゚Д゚)ハァ?と呟いてしまった。
後半で一人寂しく酒を飲んでいた時は、
「人柱一人で狂った天気が元に戻るなら歓迎だ」という意向を
示していたのに、主人公へ銃を向けられた恐怖なのか
虚無感に包まれたのか知らないが、いつの間にやら彼を
応援する形を選択していたのだ。
自分の生活が大事だって言ってなかったか?その意思は
どこへ消え失せてしまったんだ。いくら何でも心変わりするのが
早すぎるだろ。これはもしや、水の魚による汚染が
原因だったのでは?それなら納得だ。
結末の部分だが、雲のむこう、約束の場所に似ている。
ぶっちゃけ、舞台が北海道から東京に移っただけで
全く同じなのだ。銃のシーンが出てきた時点でなんとなく
予想はしていたが、こういった展開には心の底から顔をしかめる。
一番とばっちりを食らっているのは、彼らとは全く無関係な
東京都民であるというのに。ここまでくると犯罪者を
通り越して、極悪人だ。しかも、今回は都心なので、
人口密度においても明らかに規模が違う。どこかのサーヴァントが
このことを知ると真っ先に勧誘しそうだ。
これは、新たな聖杯戦争の始まりを示唆しているのかな?
いっその事そう考えた方が物語を楽しめそうな気がしてきた。
これは私だけかもしれないが、立花のおばあさんが
東京水没に関するコメントである
「水没地域は江戸時代以前には海だった場所であり、
それが元に戻っただけ」
には流石に笑ってしまった。不覚にもこれは中々高度
なギャグだなと感心した位だ。
劇場で見たら吹き出していたかもしれない。まあ、
制作委員会から大金をもらってしまったら、行っちゃうけど。
大半の主要人物には好感を持てなかったのだが、この作品に
出てくるご年配の方には好印象を持っていた。
立花のおばあさんをはじめ、占いおババと神主が出てくる
シーンは一種の癒しを感じられた。(?)
どうせならいっその事、占いおババと神主を主人公にした
作品の方が良かったのでは?と思ったのだが、
新海作品がそうった作品に挑戦することは余程のことが
ない限りありえないだろう。
作画は申し分ないが、脚本がすこぶる悪いので、
名作だと思えなかったのが私の感想だ。
正直、このアニメは映画館で観たいと思わなかった。
君の名は。と同じでマスコミによる宣伝効果で、
大衆を映画館に誘導するのが丸わかりだったからだ。
絶え間なく流れ続ける洗脳まがいの広告。
新海監督と赤い糸で結ばれているとしか思えない
RADWIMPSによる音楽の熱烈アピール。
別の新海作品でも言及した気がするが、正直な所
付きまとい行為かと勘繰ってしまう程だ。
メディアでも当然話題にするゆえに、これを取り上げる
人間も多く見受けられたので、不快感が募っていった。
2019年7月公開なのに、DVD,ブルーレイを発売したのは
2020年5月末とかなり遅いのも君の名はと完全に一致。
ここまで行くと他のアニメ映画と比較しても
明らかに優遇されているのが明白だ。
私としては、新海監督と他の製作スタッフの
関連性の方に興味が湧いてくる。直接の面識がないので、
想像でしかものが言えないが、赤い糸以上に濃い物質で
繋がっているのだろう。
制作中においては、常に3密で行動しているの
ではなかろうか。濃厚度合いも凄そうだ。いつの日か、
新海氏と他の製作スタッフを元ネタにしたアニメあるいは映画が
見られることを心の底から待ち望んでいる。
良くも悪くも、新海作品の作風が非常に濃い映画なので、
それを踏まえたうえでの視聴が良いだろう。
少なくとも、雲のむこう、約束の場所をお気に入りに入れている方
なら間違いなく楽しめると思う。私からは強く進めない。