101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ステータスだけでは計り知れない愛の力とか
【物語 4.5点】
圧倒的な大魔王の力。だが俺は、愛の力、不屈の闘志で決して諦めない!
などと語り出したら勇者伝説の王道プロットだが、
主人公が「不死者の王」という魔王ポジションの本シリーズにおいて、
愛だの何だのは自身の単純なステータスの強さが通用しないリスク要素。
この世界にもまた、心の強さが常識を越える事象があることが、
複数のエピソードで語られる。
だからと言って、力押しの世界征服でそれらを排除するのも、
また、ヘイトを主人公に集中させる典型的なラスボス破滅フラグ。
そんな故もあっての?アインズ様の世界征服に慎重な内心。
だが主の威厳を装飾していくうちに、
世界征服の野望を抱く王として担ぎ上げられていく現実。
アインズ様があまり前面に出て来ないサブキャラ群像劇が目立つ構成。
3期で「ナザリック」の存在がいよいよ世界に誇示される前夜祭。
ということで地味と言えば地味なシナリオ構成だが、
興味深い心理描写、テーマが多数提示される。
【作画 3.5点】
蜥蜴人VS不死軍団との集団戦などの描写に3DCGを交えるが、出来は凡庸。
一方で触れるだけで生命維持を諦めさせかねないセバスの殺気など、
強キャラ表現は多彩。
非凡なのは表情描写。蜥蜴人の顔面にも愛や矜持が宿り、
様々な面を持った登場人物の心理をも巧妙に炙り出す。
私のツボ:{netabare} “精神の異形種”ラナー王女の演技の裏に隠された怖面。
リ・エスティーゼ王家に宮仕えとか絶対したくないですw{/netabare}
【キャラ 4.5点】
アインズという圧倒的強者を前にしても、
自己の尊厳を放棄しない、この世界の住民。
例え服従させたとしても油断できない知恵と度胸があることが表現されている。
例えば凄いと思ったのは序盤、
不死の軍団に相対することになったリザードマン集落を率いる面々。
{netabare} 命をかけて戦う一辺倒ではなく、集落を放棄し落ち延びた場合、
一族の人口をどれくらい間引く必要があるか等、
冷徹に政治的判断を思案する胆力があることに唸らされました。
「ナザリック」の軍門に下った際も敗者としての卑屈さではなく、
むしろ、執念深く生き残りを図る、したたかさの方が際立つ。{/netabare}
国家未満の亜人の集落にして、この深謀遠慮。
この先、帝国や王国を相手に、アインズ様は渡り合うことができるのか?
ナザリック存続も一筋縄では行きそうにありません。
アインズ様は、配下のNPCに対して、
ただ命令を聞くだけでない、自立心の育成に余念がないが、
一方で特にデミウルゴス辺りはアインズ様を主と仰ぎつつも、
ナザリックを意図する方向へ誘導するかのような言動が見受けられ、
何とも薄気味悪いです。
デミウルゴスが、アインズ様の行動には深い意味があったのだ!と他の配下に喝破して、
当のアインズ様が何のことか解らぬまま、知ったかぶって、
よくぞ見破った!と威厳を保とうとするコント?
ソワソワするけど、好きですw
【声優 4.5点】
リザードマンに人間味を吹き込んだ声優陣。
ザリュース役の東地 宏樹さんらが、亜人視点の序盤を乗り切れるのか?
という私の懸念を早々に払拭してくれました。
そして同じくリザードマンのクルシュ役の雨宮 天さんは
集落を統治するアルビノの族長代理を熱演し、
まさかの爬虫類萌えを提供。
因みに{netabare} 濡れ場もあるよw{netabare}「孕むわ!」{/netabare}{/netabare}
イビルアイ役の花守 ゆみりさんも
ミステリアスな仮面女の冒険者リーダー→チョロイン同然のデレという、
落差のあるギャップ萌えを提供。
この世界、萌えも一筋縄ではいきませんw
【音楽 4.0点】
劇伴は引き続きTeam-MAXの片山 修志氏。
主題歌担当も1期同様。
OPはOxTの「Go Cry Go」でこの世界で戦い抜く覚悟を再確認。
それにしても、OPアニメで出るキャラの数、スタッフが泣きたくなる位?膨大ですねw
EDはボーカル交代後、初のシングルとなった
MYTH&ROIDのバラード曲「HYDRA」で1期EDに引き続き犠牲を厭わない狂愛を表現。
但し、ED映像は描く愛の対象はアルベド→アインズ様から、
この世界のいくつもの愛の力を示唆する。
【感想】
大所帯の『オバロ』のキャラの中で私のイチ押しはセバス・チャン。
次がデミウルゴス。
というわけで、彼らの活躍回がある2期が現状私の一番のお気に入りです。
本シリーズの感情の振れ幅の激しさに惹かれる一方で、
どんな状況でも、あまり態度が変化しない両名から、
何より未だ底を見せていない強者ぶりから、
カッコよさと妙な安心感を得ているからなのでしょうか?
それ以外にも、ついに{netabare} “爪切り”に成功したブレインさん{/netabare}とか、
弱者なりの生き様が表現されているのも
私が本作に惹かれている理由かもしれません。
あと、クライム君。ラナー姫の護衛、色々と頑張れw