kazz さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
吸血鬼ってなんだろな。
友人にBLOOD-Cを薦められたのでまずは原点を観ておかねばと思い視聴。
プロダクションIG初の原作権獲得作品。押井守が企画協力として参加しているのは2000年当時押井塾の塾生だった神山健治氏が原作であるから。そして本作から派生してBLOODシリーズが展開されます。
ベトナム戦争下の日本。米軍の監視下に置かれた少女(小夜)は翼種と呼ばれる人間を襲う怪人を駆逐するために戦う日々を送っていました。そんな彼女の戦いを、米軍ヨコタハイスクールで保険医を務める女性の視点から描きます。
本作の特色は「吸血鬼」とは翼種と小夜の特徴が混同されたものであるという新たな解釈を示した点だと思います。
翼種は人に擬態して人間を喰らう。小夜はこれを狩る。
二つの事実が観測する人間からは一つのこととして見られてしまうのは仕方ないことかもしれませんが、それ故に小夜のダークヒーローとしての側面が強調される形となっています。
これに加えて小夜の {netabare}不老長寿という体質的{/netabare}な特徴が神を憎むという性格に繋がり、「吸血鬼は十字架を嫌う」という吸血鬼の一般的な特徴に繋がるのも面白いです。
武器庫で小夜が保険医に翼種の存在と自分の存在について説明するシーンで保険医が絞り出すように吐いたセリフ「あなたは一体誰なの?」は「ケルベロス地獄の番犬」の露骨なオマージュですね。
随所に押井らしさを感じた作品でした。