「放浪息子(TVアニメ動画)」

総合得点
70.2
感想・評価
660
棚に入れた
3571
ランキング
1623
★★★★☆ 3.7 (660)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

タック二階堂 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

LGBTに悩む思春期の中学生をリアル(?)に描いたストーリー。

詳細は公式でも。

2011年にフジテレビ系「ノイタミナ」枠で放送された
作品です。原作は志村貴子さんによる同名コミック、
シリーズ構成を岡田麿里さんが担当しています。
制作はAIC Classicです。

中学校に入学した主人公・二鳥修一は女の子になり
たい男の子。一方、もうひとりの主人公であり、
メインヒロインである高槻よしのは男の子になり
たい女の子。この2人の性同一性障害を持つ子どもが
中学校でさまざまな人と絡み、ともに何かを目指して
(主に文化祭の“倒錯劇”ですが)共同作業をして
いくなかで、思春期特有の悩みなどを飲み込んでいく
といった感じのストーリーです。

長くなるから畳みましょうか。
{netabare}
誤解を恐れずに言えば、はたしてこんな割合で性同一
性障害の人間がいるのか疑問です。
主人公の2人に加え、修一の親友・マコちゃん、
大人のお友達であるユキさん、さらにはサオリに
つきまとう教会に通う男子・フミヤ(まあ、これは
修一に対抗して女装しただけだが)。

んっと、これが原作準拠なのか、ヘタレ男を描くのが
大好きな岡田マリーさんの指示なのか分かりませんが
修一が本当に、自己主張がまともにできないフニャ
フニャの男子。まあ、女子になりたいからってこと
はあるとしても……。

そのくせ、小学校時代には唐突に高槻くんに告るわ、
サオリの家で女装遊びをして告られたら拒否るわ、
同じキーホルダーもらっただけで読モのアンナちゃん
に告るわ、しかも付き合っちゃうわ、さらには学校に
女子の制服を着ていっちゃうわ、とにかく行動が突飛。

本当は芯が強いという演出なのかなぁ。それにして
は、ふだんがフニャフニャすぎるから違和感です。

そして、サブキャラも変な人間が多い。
誰に対しても全方向に喧嘩を売りまくるサオリ、
いきなり男子の制服を着て登校する女子・ちーちゃん
などなど。

そして原作を知らないので、アニメを観た印象だけで
言いますが、思春期のLGBT……というか、これだけ
見るとはたしてLGBTなのか? という疑問が。
性的な話を一切、排除しているから、かなり無理が
出ているんです。

アンナちゃんが修一にキスとかしたくないの? と
聞くところがありますが、そういうのはない的な
返答。これが、同性(と考えている人)に対する
態度であれば、逆に男子に向けた、そういうリビ
ドー的な何かが描かれて然るべきです。

たとえば、土居が修一を、おそらく“女性”として
見た描写があります。このあと、女子の制服で登校
するわけですが、その前に土居に対して嫌いと言い
ながら、倒錯劇の脚本作りを手伝ってほしいという
あたりは、微妙な女心(男子だけどね)を表現した
つもりなのかもしれません。
でも、結局のところ修一が男女どちらを性的対象
にしているかを描かないものだから、なんだか
主題がボヤけている感じになってしまいました。

最後もまた、なんともハッキリしない。
修一が背が伸び、声変わりして、で、何?
修一が自分は男なんだという自覚が芽生えたと
いうことなの?
それなのに修一、高槻くん、サオリの3人で
女の子の服を着て、というフィナーレは……。
{/netabare}
結果的に、非常にデリケートなテーマを扱い切れず
なんとなく雰囲気でまとめましたという感じを
受けました。

ま、岡田マリーさんは思春期の性を描く着想を
さらに進めたのが、のちの「荒ぶる季節の乙女
どもよ」につながったのかもしれないですね。
あくまで想像の域を出ませんけど。

実験的な作品ではありましたが、これを1クール
で腑に落ちるストーリーにまとめるのは、少し
無理があったのではないかと思いました。
ただ、それでも最後まで観させるだけの力は
感じる作品だと思います。

投稿 : 2020/06/05
閲覧 : 303
サンキュー:

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