ウェスタンガール さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
プリズナー -囚人-
サンライズである。
巨大ロボットである。
しかし、小中千昭である。
一筋縄ではいかない。
海外ドラマファンにとっては、ウキウキするような演出、オマージュの連続である。
“バットマン”や“ディック・トレーシー”のキャラクターをモデルにして、背景、小道具はそのものズバリである。
また、脚本のモチーフとなったのは、60年代の不条理SFドラマ、“パトリック・マクグーハン”の“プリズナーNo.6”であることは間違いなかろう。
そこに“lain”や“TEXHNOLYZE”の世界観がキメラの如く融合した、要するに、“CAST IN THE NAME OF スポンサー”、巨大ロボットという錦の御旗を掲げて“NOT GUILTY”と言おうか、世紀末のあだ花、超変態的怪作と言ってよい。
しかし、決してカオスな出来ではない。
40年前、何かが起こり“記憶をなくした都市”、パラダイムシティで生きてゆく人々。
人は過去の記憶を断ち切って生きてゆけるだろうか。
自己の立つ場所が、いつから、どこからつながっているかを知らずにいることは不安と恐れを生み出す。
面白いことに、神の記憶も存在しない。
時に鬼火の如く、不意に現れる記憶(メモリーと呼ばれている)が波紋を広げ、語り部である“マイケル・ゼーバッハ”の言葉を借りるなら、“虚弱にして凡俗”な心の衛士から解き放たれるとき、地下深く眠る“オーパーツ”が励起することになる。
我々は、過去にとらわれた囚人“プリズナー”ではない。
今を生きる一人の人間である。
“ビッグオー、ショータイム”
ネゴシエーターのロジャー・スミスは“ビッグオー”と共に抗うのである。
後半使われることとなったBGMが、我ら昭和世代のメモリーを呼び覚ます。ジェリー&シルヴィア・アンダーソン夫妻の手になる世紀の名作にしてわが心の故郷、“謎の円盤UFO”のテーマ“らしきもの”が流れてくるではないか!
加えて、オープニングもどこかで聞いたようなパワーコードリフ、おぉ、これはキンキーサウンズ!
元祖ヘヴィメタ、超変態“レイ・デイヴィス”大先生のジャカジャカ。やってくれますなぁ。
聞くところによれば、パイロット版のOPは、同じブリティシュロックの雄、クイーンのフラッシュゴードンまんまだそうで…。
ヒロインである“R・ドロシー・ウェインライト”、アンドロイドゆえの無表情が生み出す“表情”を演じきった矢島晶子さんに、そして影の仕事人、執事のノーマンの無双ぶりに、また、義を重んじ、市民を守るため奔走する“漢”ダン・ダストン少佐とエンジェルに万雷の拍手を!
{netabare}“メモリー”、そう、メモリーが表すもの、その意味を見届けてほしい。{/netabare}