お茶 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
覚悟ある日々
俺がりんを育てているのか、りんに俺が育てられているのか――?30歳の独身男ダイキチは祖父の葬儀で見知らぬ6歳の女の子りんと出会う。実は祖父の隠し子であることが分かり驚愕するダイキチ。親戚たちがりんを引き取る話し合いのふりをしながら互いに責任を押しつけ合う中、見兼ねたダイキチは勢い余ってりんを引き取ることを宣言するが・・・あにこれあらすじ
お葬式の親族の態度や、説明不足であったり、物語への不満をつのらせる描写は少なくない。
厳密なリアリティーさとフィクションの間の溝を受け入れさせるには、主にキャラクターに愛着が持てるか、物語に没入できるかにかかっていると思えた。(当たり前かもしれませんが(本作は深度が高い)
このダイキチという男性が大きなウェイトを占めていて、人間味にあふれた不器用さや、誠実にりんちゃんや仕事に向かう姿勢に好感がもてる。そつなくこなすキャラクター像ではなく、その日その場でなんとか乗り切っていくドラマが大げさではないが、胸にぐっとくるものがある。もちろんりんちゃんの存在感も大きい。
何かを捨てて何かを得る
この状態に入ったとき人間は強いのかもしれない。
この物語は、何かを捨てて得た覚悟が描写されている。現実の子育てもそうなのかもしれない。家族を守るために夢中になること、感傷になんて浸っている暇もない状態があるのではないかと。
それとともに、静と動の移し方が絶妙。
ひたすらに前だけを向くダイキチ。何か悟ったようなりんちゃん。
年齢からのぞかせるキャラクター像とのギャップが色濃く反映されている。
一番印象に残っているシーン
ダイキチとりんちゃんの暮らしが落ち着いてきて、ダイキチが父になろうかと思いはじめていたとき
{netabare} ~りんちゃんは「ダイキチはダイキチ」と言うんですよね。{/netabare}ここが一番切なかったですね。いったいダイキチは何者で、父にもなれず、このささやかな日々は形には残らないけれども、かけがえのない日々なのだろうか。
それでも、この覚悟あるダイキチとりんちゃんの日々は、何かロマンめいたものを感じずにはいられない。