ウェスタンガール さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
阿良々木暦の原点
物語シリーズの中で、唯一語られることの無かった、ある意味、抜け落ちていた視点。
阿良々木暦を突き動かす原動力の在り処、原点が明らかとなる。
我々は、彼の周りに集まる美少女、幼女の繰り広げる怪異譚を前に、同じく、変態心を持つが故に籠絡され、満足し、目を逸らしてきたわけだ。
それを心の奥底から白日の下に晒し出すのは、どこまでも深く闇を見据える“光の無い”目を持つ少女、“忍野扇”である。
あたかも心のセキュリティが無効化されたが如くである。
中学生の阿良々木暦と老倉育の物語。
思春期、未熟さゆえの落ち度、相手を傷つけ、自身が傷つき、忘却という安全装置が作り上げるパーソナリティがもたらすもの、心の原点を知るのである。
そしてさらに、人間の持つ根源的な心情こそが、全ての物語の底を流れるものであり、400年の時を超えて、全てのキャスティングに意味を与え、輪廻の輪を閉じる動機であり鍵であることを知るのである。
また、どちらかといえば、猿回しの如く走り回るのみの“神原駿河”が、キスショット・アセロラ…に思いの丈をぶつけることで、ストーリーを大きく動かす下りは、ある意味、らしくない展開と言えなくも無いが、胸のすくやりとりであった。
そう、彼女が、“花物語”で見せてくれた成長、自身の心と向き合う力が生まれた瞬間といえよう。
しかし、臥煙グループの謎は残ったままだ。続…、である。