STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
日常的じゃない日常系?
原作は未読。
系統としては女子日常系のグループに入る作品だと思うが、全然日常的じゃないわけでw、他の
同系統作品のモチーフが自発的か巻き込まれてかは別にして、大概は楽しみや将来を見据えて
やっているのに対して、本作のそれはやらざるを得ないというのが大きく違うところ。
そういう点で近いのは「がっこうぐらし!」かな。
「がっこうぐらし!」に較べると表面上は明るく楽しそうな雰囲気で描かれているが、本作も
実情は安穏としていられるものではなく、サバイバルに長けた鬼島 ほまれがいなかったら、残りの
3人はかなりの高確率で死亡していたんじゃないかと。
ハウツー的な知識はアウトドア寄りという点で「ゆるキャン△」に近いものがあるが、こちらは
全然ゆるくなく、かなりヘビーなもの。
その分、より実践性のある内容だったが、願わくば使う機会がないままでいたいところw。
そう言えば本作のほまれの父である丈一と、「ゆるキャン△」の志摩 リンの祖父のキャストが
いずれも大塚 明夫氏で、本作では父の指導という形で、「ゆるキャン△」ではナレーションも
兼ねる形でいずれもハウツーの説明をしていた。
どちらかと言えばモチーフの知識紹介寄りの作品で、その分キャラクターの関係性によるドラマは
やや希薄だが、いわゆる15分アニメ作品なのでサクサク進むこの路線で正解かなという気がする。
そして、遭難中ということで躊躇無く下着姿で行動するなど、不自然じゃないファンサービスも
満ちていた。
キャラクターは無人島に漂流した4人の少女とかなり絞り込まれたもので、サバイバル
エキスパートのほまれと、素人である鈴森 明日香、天谷 睦、九条 紫音の3人。
ほまれに関しては比較的クールな印象があるが、できるだけ3人の要求に応えようとする優しさが
良い。
そして、サバイバルの師でもある父のことになるとファザコン振りを発揮したり、嬉しそうに
トラップやナイフのことを語るシーンなどはいかにもサバイバルオタクといった感じだったりで、
可愛らしい一面も。
中の人であるM・A・O氏に関して、常々作品に溶け込むような演技をする人という印象が
あるが、本作もそんな感じ。まあ、うまく溶け込みすぎて良くも悪くもM・A・Oという個は
目立ちにくい印象もあるけど。
ほまれ以外の3人はサバイバル素人ということもあって、成長譚的側面がある。特にそれが強く
感じられたのは睦。
明日香と紫音に関しては序盤はワガママも多く、状況を考えると「何考えてんだ!」的な印象を
持たれそうな感もあるが、これが物わかりの良いキャラだと本当にサバイバルのノウハウを粛々と
紹介するだけの内容になってしまいそう。
ほまれが彼女達のワガママを叶えようとすることで、生きるための最低限にプラスアルファの要素が加味され、それが劇中のキャラ達の島暮らしの楽しさ、ひいては作品の面白さにも繋がって
いることを考えるとメタ的にはこのワガママは大きいんじゃないかと。
2020/05/28