退会済のユーザー さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「小林さんちのメイドラゴンS」放送記念連続ショートアニメ劇場『ミニドラ』配信中!
dアニメでショート作品配信中。
OPED込みで1分44秒しかありませんが十分に彼女たちとの再会を堪能できます。
まだこちらには登録されてないみたい。
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OL小林さんのところにドラゴンのトールが押しかけてくるところから始まり、次々と色んなドラゴンが押しかけてきて賑やかな生活が続く日常系。
タイトルと絵柄でスルーしてました。残念ですがビジュアルをひと目見ただけでは変なキャラが出てくるドタバタ日常劇にしか思えません。この作者の作風はエンディング曲イシュカン(異種間)コミニュケーションのタイトルにもあるとおり社会への適応や相互理解など社会的なテーマをさり気なく日常劇にぶっ込んでいくものです。「旦那が〜」を見て驚愕した私はワクワクしながら視聴開始しました。
説教用キャラがまとめサイトに乗るような名言の一人語りを声高に唐突に展開する作風ではないのでインパクトが弱く感じるか気づきにくい場合があるかもしれません。ただキャラが可愛いってだけでも視聴に耐えうる作品だと思いますし、時間が経った後で見返すと新たな発見が出来るような作りだと思います。よくよく見ないと意味不明なのではなく、よくよく見ると見える景色が広がるとでもいうのか、懐が深い作風だと思います。
キャラが可愛くてドラゴン設定のギャグが楽しい萌えキャラコメディ作品と、他者や家族との価値観の相違や共存関係の構築などの作家性の強い社会的メッセージ作品の2つの融合、まさに異種間コミニュケーションを作品そのもので体現している事実こそがこの作品を唯一無二の傑作にしていると言えます。萌えコメディを期待して見たら深いテーマに出会い、作家性を期待して見たらキャラの魅力にブン殴られます。萌え初心者の為に人間ではなくてこれはドラゴンなんだから可愛いって言っても大丈夫だよ、との言い訳も用意されており、なんとも恐ろしいまでに計算され尽くされた設定に打ち震えるばかりです。
オープニングもまた素晴らしい。美しい映像が素敵なのは勿論ですが、盛り上がるサビの部分には通常爽快感やスピード感のあるダイナミックな映像やメインキャラの魅力的な映像を持ってくるのがセオリーですが、この作品では大量のモブキャラがクルクル回る笑える映像を配置。他者との共存をテーマにしている作品としてこれ以上のモノはないでしょう。ビビりました。曲もいいです。キャラを押し出したキャラソンではなく歌詞だけ見たらありきたりな最大公約数のJPOPみたいなモノにしか見えません。この作品を知らずに単体で聞いてたら普通にいい曲だなーくらいでしょうが、作品と合わさる事でなんてことのない普遍的な言葉達がとんでもない広がりをみせてくれます。勿論ダウンロードしました。
曲の終わり間近に小林さんに後方から近づいて両手を広げて飛びついて抱きつくトールの姿がこれが京都アニメーションの実力だ!と言わんばかりの膨大なリソースを費やされた超絶技巧により美しくもみずみずしく描かれています。この部分だけを見てもトールの溢れんばかりの小林さんへの愛情が物凄い強度で伝わってきます。ここだけは何回みても泣きそうです。アニメーションという表現形態の素晴らしさがこのオープニングだけで体験できるアニメの歴史に刻まれるべき名オープニングだと思います。そして京都アニメーションという名前が私の中に刻まれた瞬間でもあります。
ただのコメディアニメとして見ても面白く、キレたドラゴン達が本性を表し異界の力を振るうギャグシーンは何回みても面白い。ケンカの際のバトル表現も魔法陣展開時の間や速度やタイミングなど完璧で光線射出や爆発、着弾などの表現も本格バトル作品並みのド迫力。普段は間の抜けたなんとも愛くるしいキャラ達が魔物の形相に豹変し口から火を吐き、手から光弾を繰り出すギャップはもうたまりません。
書ききれないのであとはキーワードだけ
親の視点があればより楽しめる
大人を体現するキャラがいる稀有な作品
シッポやツノなどの演技も細かい
喋らない演技、間の演技
普段大人として周囲を気遣い慎重に言葉を選びながら思いを伝えてきた小林さんがショックのあまり語彙を喪失するシーンはマジヤバイです。
気になる人は気になるかもしれない点。
アニメ好きには問題ないが一般人に対しては巨乳ロリショタ百合など強めにデフォルメされた記号の羅列による視聴ハードルがある事は否めない。私も巨乳表現は嫌いでコレだけは止めて欲しかった。スルースキルで見ないふりが出来るので特に欠点にはならないが。
萌えだけ作家性だけを100%期待すると中途半端に感じるかもしれない。そこが主題ではないとはいえ誤読される危険もあり親との対面は唐突感蛇足感を感じる人がいるかも。
作者の芸風だけを期待して見ると少し露出が遅いので途中までは、え?これってもしかしてただの萌えアニメなの?と思ってしまうがキャラの魅力を伝えるには仕方ない構成なのかも。
大人が大人として描かれる稀有で希少なアニメ作品。マンガアニメラノベだけで育ったオタクが作った作品に飽き飽きした方に。まさにアニメでしか出来ない物語。アニメーション映像表現の究極形の1つだと思う。
騙されたと思って見て欲しい。