「HELLO WORLD(アニメ映画)」

総合得点
72.5
感想・評価
225
棚に入れた
1028
ランキング
1140
★★★★☆ 3.7 (225)
物語
3.7
作画
3.9
声優
3.3
音楽
3.7
キャラ
3.7

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oxPGx85958 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1
物語 : 1.5 作画 : 3.0 声優 : 1.5 音楽 : 2.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

この薄味さは劇場用アニメ映画の限界なのか?

本作を見たのは脚本を野崎まどが担当しているからでした。この人の名前は怪作『正解するカド』のおかげで深く心に刻まれています。あの作品の最初の数エピソードはファースト・コンタクトものSFとして素晴らしいものでした。あの良さのどれほどが野崎まど由来だったのかは知りませんが、その一部でもこのコンピュータ内世界を題材としている『HELLO WORLD』にあるのなら、見てみたいと思ったし、終盤のしっちゃかめっちゃかぶりが意図的なものだったならば、怖い物見たさでまた味わってみてもいいかなと思ったのです。

しかし残念なことに、本作はそのどちらの要素(ハードSFとしての筋の良さと、展開のばかばかしさ)もありませんでした。どこかで見たような陳腐な物語が、特にオリジナリティのある捻りもなしに語られるだけでした。

こんな薄味のアニメ映画が作られてしまった理由についてのヒントがWikipediaにありました。本作のページにある記述によると、2016年の『君の名は。』のヒットにより「東宝社内で求められる企画の傾向も変化したため、完成段階にあったシナリオは没となり、高校生を主人公とした、エンターテインメント要素の強いシナリオを最初から作り直すこととなる」という経緯があったとのこと。

そして、「主要なスタッフが会議室に泊まり込み、それぞれの好みの作品を挙げていくというブレインストーミング形式で話し合いが持たれ、さまざまなSF作品からインスピレーションを受け」てシナリオが作られたというわけです。

Wikipediaには続けて具体的な作品名が列挙されていますが、本作『HELLO WORLD』はそのほとんどの作品の足下にも及ばない駄作です。それは仕方のないことですが、私が気になるのは、最初から「観客層を舐めて作ってる」んじゃないのかということ。で、舐められている観客層は「劇場用アニメを見に行く人たち」なんじゃないかな、と思った次第です。観客はどうせグレッグ・イーガンを読んでないし、『バニラ・スカイ』も『インセプション』も『インターステラー』も『LOOPER』も見ていないから、こういった作品から細かいアイデアを薄味にして借用してもわからない、と思っているのではないか。別の言い方をすると、『君の名は。』の商業的成功に拗ねて、あるいは開き直って作っちゃったんじゃないのか、と。

演技・演出・音楽・作画など、いずれも特筆すべきものなし。主役2人は明らかに起用ミス。音楽の使い方が安っぽい。現実世界に仮想空間っぽい幾何学的形状が入り込んでくる描写は勝負どころの一つだったと思いますが、センス・オブ・ワンダーに欠けた薄味のものでした。京アニ出身の堀口悠紀子のキャラクター・デザインによる3DCGは一つのチャレンジだったのでしょうが、表情の動きが足りなかったりデザインに合わなかったりするという問題が発生していたようにも思います。

投稿 : 2020/05/26
閲覧 : 284
サンキュー:

9

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