USB_DAC さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「傾くまでの月を見しかな」
★物語
・原作 : オリジナル
・監督 : 岸 誠二
・脚本 : 柿原 優子
とてもピュアな初恋の結末。制作Pが「たまこラブストーリーに影響
を受けた」と語る通り、仕草や表情の描き方が本当に良く似ています。
飾り気の無い二人は何処か懐かしい。でも少しムズ痒い、かな。w
★作画
・作画監督 : 松本 剛彦
敢えてアニメに関わりの薄いイラストレーターを起用したという通り、
地味だけれど現実的なキャラデザイン。背景もそれに見合って美しい。
非常にバランスが取れた作画です。
★声優
・安曇 小太郎 : 千葉 翔也
・水野 茜 : 小原 好美
茜役を演じた小原好美さん。自信無さげな声と泣き声は中学生らしく
自然で等身大の演技をされていたと思います。
★音楽
・OP:「イマココ」/ 東山 奈央
・ED:「月がきれい」/ 東山 奈央
・音楽 : 伊賀 拓郎
3話で流れた東山奈央さんが歌う「初恋」。思わず故・村下孝蔵さん
の若かりし頃を思い出します。その他カバー曲全てを彼女が歌うとい
う一貫性もとてもいい感じ。
★キャラ
・キャラクターデザイン : 森田 和明
・キャラクター原案 : loundraw
小太郎の両親にはグッと来るものがあり、茜の姉の指摘も的を得てい
て凄く共感しました。家族の本当の優しさを感じることが出来るこの
作品。時に暴走しがちなこの若い二人を陰ながら応援し見守る家族の
優しさは、物語をより引き立てている。そんな印象を受けました。
それにloundrawさんのイラスト、いいですよね。僕は好きです。w
[感想]
第8話『ヰタ・セクスアリス』(著 森鴎外)。
異性への関心が芽生え始めるこの世代。それが直接性欲には結びつか
ない、本当の恋愛を知る一歩手前の時期。それは誰にでも必ずあった
心と身体の成長の過程。
初めての恋。例え付き合えたとしても何をしていいのか分からず戸惑
い、ただ好きと言う気持ちだけが先走る。それは互いの心を常にとき
めかせ、時に胸を締めつけ苦しめる。
やがて二人きりの空間にも慣れ、互いの距離が一歩一歩近づくにつれ、
その未成熟な心は、いつしか強烈な不安感や嫉妬心を生み出していく。
友に告白されたことを言わなかった小太郎。そんな彼を信頼し切れず、
川辺で一人泣きじゃくる茜。そして彼と対等でいたいのに負担を掛け
てしまうという思い。男としてハッとする瞬間でした。もしかしたら
あの最後のくちづけは、彼との別れを覚悟していたのかも知れません。
そんな彼女の気持ちを思うと、切なくて胸が張り裂けそうになる。
そして、彼女の想いをあの場面で受け取ることが出来なかった小太郎。
ここに男性と女性のセンシティブな違いが感じられました。(1話で
のファミレスで小太郎が感じた、彼女の制服への違和感もそう)
結局、擦れ違ったまま離れ離れになった二人。しかし互いの同じ想い
がそれを懸命に繋ぎ止める。そして彼が投稿した小説第10章。一途
な彼の想いは街を離れる彼女に密に伝わり、その結末が彼女の不安を
一掃し、奇跡とも言えるラストシーンを見せてくれました。
確かに綺麗過ぎるストーリー。それに大抵の初恋は自然に消滅してい
くものでしょうし。それでも数は少ないけれど、初恋を大切に育み結
ばれたカップルがいることも確かです。もしかしたらそんな二人にも、
こんな素敵な恋がきっとあったのかも知れません。賛否あるその後の
行く末も、そう思うことで素直に受け入れることが出来る気がします。
もし生まれ変わることが出来るなら・・・・、
こんな甘酸っぱいドラマの様な初恋を是非してみたいものですね。
因みに余談ですが、茜が乗るJR川越線。市川に向かうなら遠まわり
で当然運賃も高くなります。中学生の茜にとっては最短の東武東上線
を使う方が安くて妥当と言えますが、電車の絵的な理由からでしょう
か?細かい事ですが、ちょっとだけ不自然に思える部分でした。w
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。