oxPGx85958 さんの感想・評価
2.6
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 1.5
音楽 : 2.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
尖っていない実験的アニメ
セリフのない原作マンガをセリフなしでアニメ化した、という実験的作品。ただそれが、なんというか、世俗的というべきなのか商業的というべきなのか、とにかく「無言シーンを使って実験的な試みをした映像作品」みたいな尖り方をしていないんです。この点をどう受け止めるかで評価が二分される作品なんではないかと思います。
登場人物たちは登場シーンにおいて無言を貫いているわけではなく、ところによっては何かを言っています。アニメではそれに「セリフを当てていない」だけで、画面では吹き出しを使ったりして会話が行われたことを示唆しています。
その他の場面でも登場人物たちは「無音」状態にあるわけでなく、笑い声や吐息などの音が声優たちによって当てられています。作品はこのタイプの音で充満しています。
私は原作を読んでいないから本当のことはわかりませんが、「セリフがない」ということが、マンガとアニメにおいてかなり違った意味合いを持ってしまったのではないかと想像します。
出来上がったアニメ作品は、(女性)声優たちの「キャハハ」という笑い声や吐息が多く、セリフがない、女子高生の日常系アニメ、になっていました。この2点をそれぞれ肯定的に受け止めるか否定的に受け止めるかによって、評価はかなり変わるでしょう。
個人的には、声優たちがキャハハなどの音を頑張って出している(そこしか頑張るところがないから仕方ない)のを鬱陶しく感じたけれども、往々にして内容や発話に苛々させられるセリフがないことがポジティブに感じられた局面もありました。でも、これと真逆の受け止め方をする視聴者が大勢いることも容易に想像できるので…
それ以外の「無言アニメ」としての側面は、たとえば音楽や演出や作画の面では、レベルが高いとは言いがたいものでした。日本の低予算アニメは、いい意味も悪い意味でも声優の力業によって他の部分をカバーすることで成立している面がありますが、本作は失ったアドバンテージの分を他で充当できていなかったように思います。