ウェスタンガール さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
かつての王にして未来の王、…。
アーサー王伝説は、英雄、騎士道、魔法、ロマンス等々、ファンタジーを彩るアイコンの見本市ともいえる存在である。
ただし、全ての古典ともいえる、“アーサー王の死”のあらすじを見れば、愛憎と裏切り、とんでもなくぶっ飛んだお話であることが分かる。
アニメでは、それらを見事に昇華することに成功している。
“かつての王”アーサーを、純粋無垢な女性剣士“セーバー”としてキャラ付けしたことが全てであると言っても良い。
モルドレッドとの骨肉の争いがもたらす結末はアーサー王が背負う苦悩である。
それはセーバーを突き動かす想いとして落とし込まれており、湖の乙女から授かる聖剣“エクスカリバー”の顛末も含め、その多くが原典をなぞった内容となっている。
円卓の騎士ベディヴィア卿の忠義、そのラストはとても感動的であった。
実は、いろんなお話を聞いていて、本当はufo版のみで済まそうと思っていた。
しかし、一作目を見ずして何とする等と、いつものひねくれが出てきた。
結果オーライである。中々面白かったのである。
セイバー以外の登場人物のストーリーが浅いようにも感じたが、原作を知らないこともあってか、それほど気にはならなかった。
なにより、劇中で使われている音楽が良かった。予告へつなぐナレーションが渋かった。
タイナカサチさんが歌い上げる“disillusion”が素晴らしかった。
セイバーが良かった。
後で知ったのであるが、監督の山口祐司氏は今年の冬に、音響監督の辻谷耕史も2年前にお亡くなりになっている。
素晴らしい作品に感謝である。