さえぽん さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
久しぶりに名作に出会えました。
毎回レビューの前に前置きとして書いてますが、私のレビューは超辛口です。
このアニメはとても見る人を選ぶと思います。
少女終末旅行やARIAのような、特にストーリーに起承転結がなく、ただその素敵な世界観や登場人物達の魅力を感じて楽しむことが出来る人にはとても素晴らしいアニメだと思います。
抽象的な言い方をすると料理で言う所の、大味な肉料理をバーボンと一緒にガツガツ楽しむという方向けではなく、イタリアンやフレンチ料理を少量でもいいので繊細な味の機微を楽しみながらワインなどでゆっくり味わう、というのが好きな方向けだと思います。
この作品が刺さらない人は、ゲラゲラ笑う様なわかりやすいコメディだったり、悪がいてそれをやっつけるといったもっと勧善懲悪なわかりやすいアニメが好きな方だと思います。
後、このアニメに関してはアニメに対して造詣が深い方の方が楽しめると思いますよ。
「宮崎駿のインスパイアものか。」とか陳腐なレビューされてる方もいましたが、インスパイアしてるのは宮崎駿だけではなく押井節も入っていたり色んな要素が混じっていますよね。そういう所が理解できる方の方が楽しめると思います。
アニメを制作する工程などをよくわかってる人が見ると、
浅草氏=監督、美術、演出
金森氏=ラインプロデューサー、メーカープロデューサー、デスク、撮影
水崎氏=作監、原画、キャラクターデザイン、動画
という風にそれぞれがアニメ制作に必要な役割を一人数役でこなして絶妙なチームバランスでアニメ制作に取り掛かっていくというのがとても見ていて心地よかったです。
私は個人的に金森氏が大好きで、部に立ち向かってくる障害を神がかり的手腕で解決し、浅草氏と水崎氏に出来るだけ制作に集中してもらうように環境を整えられる鬼の手腕がとてもかっこよく映りました♪
それぞれがそれぞれのメンバーを信頼しあってともに協力して同じ方向を向いて進んで行くというのは見ててとても熱くなりました。
私的にはこの作品が1クールだけで終わりというのが短過ぎで、もっともっとこの世界とこの3人のお話を見てみたかったなという思いです。
こういう色んなダシを取った繊細なスープで素材の味を楽しむという系の作品は、人によれば薄味に感じる人もいると思います。
こんなよくわかんないスープよりマックのテリヤキバーガーが食べたい!という味の好みの人もいますからね。
ただ私はもうこのスープはあまりに美味しすぎて何杯も食べてしまっています。
この事はレビューに書くことが多いですが私がアニメを良作かそうでないかを判断する基準はそのアニメが周回できるほど楽しめるかどうかという点です。
すでにこのレビューを書いてる時点で5週してしまっているので良作と判断するには十分です。
アニメを評価する上で重要なOPとEDも作品にとてもマッチしていてかっこよくて本当に良かったです。監督さんはほんとにセンスある方ですね。
是非続編が出来てもっとこの3人とこの世界を堪能したいところです。