ふぁんた さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
美しい宇治の成長青春活劇
終盤でのお姉ちゃんの「音大行くつもりもないのに、、」というセリフ、高校の部活動には結構刺さりますよね。
将来それで生きていくわけでもないのに、、、おそらく1話目の久美子は部活に対してちょっとそんな距離感でした。
ほとんどの人たちは高校に入ると部活よりも、恋やバイトや大学受験が忙しく、高校部活っていわゆる、やる気ない勢になりがちですよね。変に達観してしまっているというか、自分はこの分野で全国に出れるような実力もなければ情熱もないと。。
初期の数人のガチ勢と決めたからにはヤル厳しいイケボ先生の指導にあてられた生徒たちが徐々に意識を変えて行く、、涙あり、挫折あり、そんな熱血スポ根の美しい青春を主人公を始め、まわりのキャラの努力と成長を丁寧に描いてくれています。
しっかり背骨の通ったストーリーなので変にあっちこっちに話は横滑りせず、部活を通した若人達の成長を見せてくれます。
本当に京アニお得意の超美麗な宇治の背景と崩れない作画。
おそらく地元の人だったらメチャクチャ楽しめるだろうなと思える美しい宇治の場面でした。
ヴァイオレットでもそうでしたが、特に水の表現が素晴らしいですね。
宇治川のキラキラや涙、汗の表現、水って描くのすごく難しいのですが、非常に湿度や柔らかさを感じる水の質感をアニメーションで表現している制作者の方々には感服いたします。
そして悔しいと走った橋の場面、、
すごい作画で演技も素晴らしくちょっと気持ちを持っていかれました。
始め麗奈にあんなことを言ってた娘がこんなにも感情を弾けてしまうなんて、、
目をみはる成長と素晴らしい演出が見事に噛み合っていて最高のシーンでした。
夏の練習のシーン。
見ているこちらまで汗が吹き出てくるような、そんな臨場感を感じる、、ただ、背景と人が描かれているだけでない、温度、湿度、むせる夏の匂い、刺さるような夏の日差し、、このシーンは高校生の頃にグラウンドを走っていた感覚を思い起こされました。
こういった五感を揺さぶるような表現を全力で描き切る京アニの情熱は、日本を代表する文化の発信者として称賛、尊敬いたします。
大人になると、仲間達と負けたら悔しくて号泣してしまうような大会に出れる機会がある人なんてあまりいません。
将来がどうこう考えずに、高校生だからこそ謳歌できる青春をティーンズには味わってほしいなと思います。