「ガールズ&パンツァー(TVアニメ動画)」

総合得点
88.3
感想・評価
3203
棚に入れた
14087
ランキング
119
★★★★☆ 4.0 (3203)
物語
4.0
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

戦車の戦闘シーンや演出は見事なものだが…

この作品は、水島努氏が監督を務めた初めての完全
オリジナルアニメである。
名前を聞いた当初は、ストライクウィッチーズと
同じ系統の作品ではないかと勘繰っていたが、あれより
露骨なズボン⦅というよりパ(ry⦆を身に付けていない様子
が確認されたので安心した覚えがある。

作中で完全に省かれたアンツィオ戦も同時に視聴したが、特筆すべき点が
見受けられなかったので、こちらに統一することにした。
改めて見直してみると、かなりの長文になってしまったので
渋滞時の時間つぶしや、寝付けないときの道具に活用するか位の
心構えで見て頂ければ幸いだ。

あらすじについてだが、戦車道という武道が幅広い世代に
認知されている異世界が舞台。過去の戦車道全国大会の試合で、
トラウマを抱えた主人公西住みほが、戦車道のない大洗女子学園
に転校したところから始まる。

新たな学園生活を楽しもうと考えていたのもつかの間、
生徒会の呼び出しを食らい、急行すると戦車道を選択しろと
強要された。この学園で出来た2人の友達も同行するが、
2人は戦車道に興味津々。一緒にやろうと誘われるが、
先述の件で戸惑う主人公。

果たして、彼女は戦車道を選択するのだろうか?
まあ、結局は選択することになるんだけどね。そうでもしないと
物語自体が成立しないから仕方ないのだが。

過去の私を含めて、戦車道とは何ぞやという疑問を持っている
人が多いと思うので、分かる範囲でここでは
述べていこうと思う。

戦車道とは、戦車を用いた武道であり、昔は華道・茶道と
並び称されるほどの伝統的な文化のことだ。
目的は、礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を
育成する(!?)ことのようだが、戦車道の理念に異議を
唱える者もいるらしく、正しい認知がされている
わけではない模様。

現在ではマイナーな武芸なのだが、世界的に知られている
ので、この作品内においては一般常識の一つに数えられている
のは言うまでもない。

なぜ男子戦車道がないのかという意見が出ても不思議では
ないが、作中の人物たちはそこに至るまでの発想が出てこない
ようなので、誰も男子戦車道について触れることは一切ないと
思った方が良い。

ここからは、戦車道に対する疑念を書いていきたい。
秋山 優花里の話によれば、この戦車道は安全に充分配慮
されているようだが、そんな風には到底思えない。
吊り橋から転落する場面が挿入されている時点で、
リスクが余りにも大きすぎる。

また、作中の展開上市街地で戦うことが多いのだが、
明らかに一般市民が危険区域内にとどまっていたし。
その上、実弾は使わないというスタンスを取っているようだが
あの描写を見る限り実弾であることは明白だ。

かなりの頻度でバンバン弾を発射しているので当たった時の
被害も大きいのでは?と思っていたのだが、ここに出てくる
戦車道の選手たちは、特異な体質を
持っている様でかすり傷程度で済んでしまうことがほとんど。
水没する場面があっても大半の選手はケロッとしているくらいだし。

“普通”の女子ならば、戦車道に対して恐怖の対象を抱くはずだが
その様子は一切見受けられない。
ここでの登場人物は恐らく“通常の人間“だと勝手に認識していたが、
それは明らかな間違いだったことに気づくのはそう遅くなかった。

ちなみに、主人公である西住みほは、頭を電柱にぶつけても
痛みを感じない体質らしい。どうやら彼女たちは
人間を辞めているようだ。
「魔法使いなのでは?」「超能力者なのでは?」「宇宙人なのでは?」
といった疑問がふつふつと湧いてくるが、どこかのエクサイティングで
バイオレンスなギャグテニスマンガに出てくる人物たちとの遠い親戚に
当たると考えた方がつじつまが合いそうだ。

一応、未経験者が多いという理由で講師を招き、講習を受ける回が
あったが、いきなり模擬試合をやらせるのはいかがなものか。
全く経験値がないチームもあるというのに。
成程、鬼畜教官とはこういうものか。

それ以上に不可解なのは、ろくな指導を受けていないのにも
かかわらず早い段階で戦車を乗りこなしている生徒たちだが。
戦車道の経験のある主人公や天才ともいえる操縦士はまだわかる。
完全な素人がそこまで苦戦することなく、扱えているのは
一体どういうことなのだ!?

学園生活の授業の一環としてひそかに人体実験を受けていたのでは?
そこに対する描写が一切ないのが悔やまれる。

講習を終えた後、練習試合、そして戦車道全国高校生大会への
流れに繋がるのだが、余りにも唐突すぎる。
練習試合はまだしも、いきなり全国大会!?

「ふざけているのかああああああ!!(#`Д´#)」と憤る視聴者が
必ず出てくるのは当然の事。
物語の後半になって全国大会にエントリーした理由が
明かされるが、もう少し早い段階で説明を入れるべきだった。
後の祭りとはまさにこのこと。

戦闘シーンは見ごたえがあるし、演出に関しても
ずば抜けているのは事実。だが、ご都合主義としか思えない。
なぜなら、悪戦苦闘する場面はあっても順当に決勝まで
行ってしまうからだ。

特に酷いのはアンツィオ戦。アンツィオ高校に出てくるキャラクター達
には好印象をもっているが、実力に関しては完全に大洗と
どっこいどっこい。というか格下。咬ませ犬。

どう見てもアフロにしか見えない月の武人が現場に居合わせたら
「ああーつまらんなぁつまらんなあ!」
との評価を下しそのまま帰還すること間違いなし。
以前に対戦した聖グロリアーナ女学院の方が明らかに強かったぞ。
ぶっちゃけ、練習試合の対戦相手はこいつらで良かったのでは?

キャラクターだが、自分としては特別に思い入れのあるのは
いなかった。反対に嫌いな奴は直に見つかったが。
生徒会メンバーの角谷杏と河嶋桃の二人だ。

角谷杏は、生徒会長ではあるが、試合中は常に好物の干しいもを
口に入れているだけの怠け者。所々生徒会長としての一面も
のぞかせるが、先述の理由であまりいい印象はない。
生徒会長という立場を理由に強要している上に、途中から戦車道に
関して、主人公へ責任転嫁する対応を取っているのはいただけない。
こいつ本当に生徒会か?と思ったのは私だけではないはず。

特に酷いのは河嶋桃で、沸点が異様に低いだけでなくメンタルの
弱さが目立つ。主人公の西住美穂への辺りが特にきつく、
何かあるたびに高圧的な態度を取る。

こいつの勝手な判断でチームが乱れることも多いので油断ならない。
上手くいかなければ、「もう終わりだぁ…」「やられたぁ!」
の一点張り。チームの士気を乱しているのはこいつで間違いない。

最初は試合中に逃げ出したが、徐々にレベルアップしているのが
伺えるうさぎさんチームとは対照的だ。こいつが映っている時は
碌なことが起きないので、早く画面から消失してくれないかなー?
と心の中で呟いている自分がいた。

試合中では砲手を担当するがポンコツそのもの。一言でいうなら
足手まとい。まあ、これは生徒会長の角谷杏が怠け者であるのが
要因でもあるが。終盤において、装填主としてはかなり有用
だったことが判明するが時すでに遅し。生徒会には問題があることを
改めて認識した次第である。

せめて、2クールに伸ばし、練習試合から全国大会の間を丁寧に
描写すれば大分変わったのではと思うのだが…。
まあ、今更こんなことを書いても仕方ないか。
このアニメを見るまでは、なぜ「ガルパンはいいぞ」という
意見が多いのかが不明だったが、今ならそれがよくわかる。

要は”ご都合主義やキャラクター達の葛藤がないことに目を瞑れば”
のニュアンスを含む「ガルパンはいいぞ」だったのだ。
これであの御方も安心して無事に出陣の花火を上げられそうだ。
良かった良かった。

ミリタリーファン、水島努氏が好きな方、戦闘シーンを重視する方ならば
楽しめると思う。私からは強く勧めない。

投稿 : 2020/05/19
閲覧 : 465
サンキュー:

19

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