「メイドインアビス(TVアニメ動画)」

総合得点
92.7
感想・評価
2258
棚に入れた
9331
ランキング
17
★★★★★ 4.1 (2258)
物語
4.3
作画
4.2
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.1

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tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

異彩を放つ「Sense of wonder(センスオブワンダー)」

見たことのない風景、驚くべき風物、現実にはあり得ないけど、リアリティが根底にある。かつて、SFの王道、アニメの王道であった「Sense of wonder」がこの物語にあります。

この物語を見始めて、アメリカのSF作家ラリイ・ニーヴンの「リングワールド」を思い出しました。地球型惑星の公転軌道上に合わせ、直径が惑星と太陽の距離の超巨大なリング状の構造物(リングワールド)、それが公転速度と同じ速度で回れば、リング表面には地球型惑星と同じ重力が発生する。リング表面積は、惑星表面積の300万倍。それが、打ち捨てられた状態で宇宙のどこかで発見され、主人公たちがその表面を探検する。まさに、アビス同様に、あり得ない光景、驚くべき風物。しかし、その超テクノロジーの産物のリングワールドには、遺跡と不思議な動物たちがいるのみ。。。

アビスにも、同じSFの王道、センスオブワンダーがいっぱいです。今のアニメ設定の多くはそれを異世界に求めたり、妙に近未来に設定したりで、「想像可能な世界」を設定として使うものばかり、その中でこの物語は、ひと際、異彩を放ち、観ているものを強く引き込みます。

設定のほとんどをオリジナルで創造する必要があるこうした物語は、現在のような多作多死の業界では生まれにくい。そこに大きな価値があります。

ダークファンタジー、グロいとの評価も多い。観客の安易な楽観主義を何回も打ち砕く演出にも、評価を下げる人も多いと思う。しかも、こんなキャラ設定と絵で。センスオブワンダーを成立させるためには、物語はチートであってはならない。ダークファンタジーというよりハードSFと言うべきかもしれない。本来なら、キャラや絵をハードSF系を振るべきかもしれないと自分で思ったが、撤回したい。ダークな部分も、心理的に厳しい場面も、アニメというダイレクトに伝えてしまうメディアでは、おそらく観客は心理的に耐えられない。ギャップがあるから、耐えられる。ギャップを使った少しホッとする場面が、必ず厳しい場面の後に来ているのもうなずける。小説ならいい、自分の脳内劇場は自在に調整可能だ。この原作は漫画と聞く。なるほどと観た後、思った。

このTVシリーズの13話では、まだ物語の30%程度であろうか?、作中に描かれながら回収していないプロットや、深堀りしていない魅力的な登場人物ありと、途中感が、甚だ大きいが、この効率重視の業界の中であえて、この王道センスオブワンダーを前面に出してきたことに敬意を表したい。

投稿 : 2020/05/17
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