じょー さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
偽りの神に抗え
貴志 祐介氏は、保険金殺人を描いた「黒い家」で、2年連続での、日本ホラー小説大賞を得たホラー中心の作家。代表作は、「青い炎」「天使の囀り」「悪の教典」など、人間の恐怖を描いています。2008年に発表された本作品は1800Pを越える長編大作でありますが、氏にしては珍しく、SFです。
現在から数えて、1000年後の未来。呪力と呼ばれるサイコキネシスを持ち、牧羊的なコロニーを形成する人間たち。この社会で起こる、悲劇を描いたSF作品。
まさか、最後になって、このアニメがここまで面白いくなるとは、とても思えませんでした。序盤の不足気味のテキスト量と、意味不明な演出。中盤の話の展開のだらだらさと、時折挟まれる、解りにくい表現から一変。26歳編になってからのスペクタクルは非常によく演出されていたかと思います。そもそも、原作の方も、17話の26歳編に入ってからが本番という感じだったので、原作通りといえば原作通りなのですが、ここからのまとめ方は、原作を読んでいながらも、素晴らしかったと思います。最後の最後でやっと解る「偽りの神に抗え」というキャッチも良かったと。また、種田さんの実質初の主役だったかと思いますが、今後の活躍が期待できそうです。
演出以外にも、キャラデザや時折の絵柄の崩壊。何より、序盤の退屈な展開で引きつけられず、離れて行った方が多かったのではないかと予想される所など、それ以上に言いたい事も多かったアニメです。一般小説のアニメ化、ぶっちゃけて言えば失敗例にしてしまったのは、頂けなかったなと。16話まで我慢してください、その後は面白くなりますでは、さすがにね。
取りあえず、僕自身は結局結構楽しめました。貴志さんの他の話もアニメ化されるといいなと・・
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4話「血塗られた歴史」
{netabare}
ここに来て、やっとミノシロモドキによる歴史の解説がなされます。すこし早足での解説だったので、今ひとつここの今までの歴史が解りにくかったかと思いますが、主人公達は科学文明の継承者で、最後まで生き残った人類です。なぜ歴史は封印されたのか、なぜ呪力のない子供(PK.=愧死機構が働かない)悪い行いの子供(業魔、悪鬼になる可能性が高い)が排除されてきたのかについて、少し理解しにくかったかと思います。説明不足感はありながらも、最低限必要な事に関してはキッチリ説明しながら、大きく話が動き、風船犬の所で上手い引きで終了しました。一度原作を読んでいてもドキドキします。
早足でしたが、いよいよ面白くなってきました。
{/netabare}
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3話「ミノシロモドキ」
{netabare}
少しずつですが、動き始めましたね。やはり、原作をしらないと、蛇の所とかは解りにくいんじゃないかなと、ここらへんそこまで大事な所ではないのですが、ちょっと説明不足を感じます。
正直ここまでは、原作でもなかなか話が進まずに、人によっては切ってしまうかも知れませんが、4話からは確実に大きく話が動き始めると思いますので、こうご期待。ここまでがイントロで、ここからが「新世界より」の本編に入ります。
{/netabare}
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2話「消えゆく子ら」
{netabare}
段々と世界観が明るみになってきて、一話からの不気味さが形になってきたかなと言う感じがします。球転がしを通じて、主要5人の人となりを説明、そして、子供の消える事の意味を段々と理解させていますね。あの猫の陰の描写は良かったです。バケネズミについての初の描写もありましたが、こちらも中々イメージを損なわない表現だったと思います。映像化に関してアニメでしか不可能だろうという所です。
{/netabare}
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1話「若葉の季節」
{netabare}
えっとまずは、多分掴みは失敗じゃないのかなこれ。ほぼ原作通りの、まったりとした出だしで、原作でも面白くなるまで、しばらくかかったのですが、そのままにやっちゃった感じです。説明不足なんだけど、原作通りだという。その内説明が入るので、今のところは大体の世界観がぼんやりつかめれば良いのですが。原作を読んでるので解りませんが、このままだと盛り上がりに欠けすぎて、みんな切っちゃいそうな感じを受けましたが、どうでしょうか?。
3,4話あたり、ミノシロモドキが出て、探検に出て、話が急激に転がり始めるまで、頑張ってください。とだけ言っておきます。
とりあえず、呪力(超能力)が有る世界で、子供は呪力を授かると、一度封印され、真言を与えられる事により、呪力を制御する。成績が悪いと学校からいなくなる事がある。なにか歪な社会を形成してる。こんだけ理解してればいいかと。後になって、この1話が凄くメッセージを含んでいるのが解るのですが、これはおいおい。
作品の雰囲気通りの物語なので、鬱、グロ、エロはご注意を、いろいろな所で言及されていますが、エルフェンリートを見る感覚で、というのは間違ってないかも
世界観は非常に上手く表現できていたかと思います。ほぼ原作を読んで思い浮かべた風景そのまま。絵、特に背景はとても綺麗でした。早季の目を使った描写が非常に印象的でした。演出は非常に良かったと思いますので、あとは十川さん次第だと。
{/netabare}
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視聴前レビュー
{netabare}
1000年後の世界、呪力と呼ばれる念力を手に入れた人間は、技術文明的には退化し、コロニーを形成していました。
冒頭で、「十二歳だったあの晩からは、すでに二十三年の月日が流れた」と述べる渡辺早季の回想録の形で語られます。超常の力を持ったが故に、完全に情報や人と人ひととのつながりが管理された社会のなかで、社会の外にいる、生物「バケネズミ」他、多様な野生生物。そして中に居る人間達のつながりの中でのひずみ、人間の残虐性、復讐心、エロ、グロなどの人間の裏側をえがきながらも、ジュブナイル小説の面もみせていきます。そして、最後に表題「偽りの神に抗え」という言葉の意味を理解します。
正直いって、良くこの世界感をアニメ化しようという気になったなと。しかし、それでもアニメ以外の媒体では、とても表現しきれないだろうというのも納得出来ます。面白い形のチャレンジではないかと思います。
制作はA-1、すでにビジュアルで、スクィーラと思われる造形が描かれていますが、ほぼ想像通りでした。
キャストは下に
渡辺早季:種田梨沙
朝比奈覚:東條加那子
秋月真理亜:花澤香菜
伊東守:工藤晴香
青沼瞬:真堂真衣
監督:石浜真史さん、R.O.Dの作監や、ストレートに想いも言えるのに~の神山満月ちゃんのOPの方です。監督は多分これが最初ではないかと。シリーズ構成は十川誠志さん。テニぬやフェアリーテイルなど長編アニメを得意とされている方です。
どんなアニメになるのか予想もつきませんが、SF小説原作しかも貴志 祐介という異色の組み合わせ、楽しみです。
{/netabare}