waon.n さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
あの頃のあの日々のイエスタデイ(最終回視聴終了につき内容を変更)
視聴終了後の感想は下の方。
原作マンガ連載開始が1998年。
あの頃をそのままアニメにしている作品でついつい、追憶の中に引き込まれてしまう。それだけあの頃をリアルに描き出しているアニメです。
つまり、今の30代中盤から40代もしかしたら50代までクリティカルヒットしてしまうアニメです。これはドラマや映画だともしかしたらこの雰囲気を出すのが無理かもしれない。万引き家族という映画を見て感じた惜しいなという感じ。つまり時代背景をぼかす所までしかできてないよね。ってところ。いや、もしかしたらそのつもりは無かったかもしれないけれど、あの家族を撮る時に過去なの現在なのってところは実は重要に感じたんだけれど、結局現代なんだろうなーってなったところがある。
そういう惜しさみたいなものが、このアニメには完璧に消されている。バックトトゥーザフューチャーよろしく過去へタイムスリップしたような感覚に陥る。
これはアニメだからこそ作りこめばそれだけ良いものができるんだぜ、見てるか!って本気を感じずにはいられない。
じゃあね、どこがそう感じるかって話です。
細かな、小物もそうテレビはブラウン管、ビデオデッキは3色ケーブル、携帯電話はひょいひょい登場しないし主人公のリクオの家にはダビングができるカセットテープデッキに据え置き電話などなどw
今回このレビューを書き始めたのが6話を観てからなんですが、この回に唐突に登場したユズハラという女の吸うタバコがちょっとデザインと名前が違うけれど、今はもう売ってない当時のタバコでセーラム・ピアニッシモである。こういう細かい時代背景の作りこみ方がすっごく丁寧であの頃が蘇ってくるわけです。
私の母の妹が昔セーラムを吸っていたのを思い出したりして懐かしい。
(タバコは吸わないけど、作品の中に出てくるタバコは好き)
いやぁどうですか? このレビュー見てる方で本編見てる方で6話が震えるほど良かったと共感してもらえる方いるかなー居てほしいな。
ユズハラって女の造形が与えるこの物語へのインパクトは絶大で、今後の展開がマジで楽しみになる。さて今後どういう形でリクオに変化をもたらすのか乞うご期待! ですね。リクオと重なる部分を持ち合わせているものの完全に違う性格である。分かるけど、分からない。必要じゃないけど必要な関係に見える。
ユズハラとシナコの会話で見せたアニメーションの力に圧倒される。動き回るだけがアニメーションじゃないんだぜ! そして二人の会話の不自然さが自然に出せてるし絵の演出との馴染みがスゴイ。こういう所まで演技できる声優さんはスゴイ。(なんか最近逆のレビューした記憶が…)
唐突に出てきてこの印象を与える喜多村英梨さんはあれかい? 控えめに言って天才なのかい? 花澤さんもとても好きだけれどね。
本当に来週が楽しみですぜ。波よ聞いてくれと共に楽しみな作品です。
に与えた影響は! 来週が待ち遠しい。
追記
8話、私は実写を越えて伝わる作りに感動する。
リクオの決意、受け止めるハル。そして、何かを決意をしたようなシナコ。
何を決意し何を受け止めたのかはまぁ見てもらえればいいとして、震えたのはその演出。
リクオの成長とシナコの成長が重なり合うように見せる脚本の技がスゴイ。この1話切り取っても前半に下地があって中盤でまくり、最後に落とす完璧な構成だよ。それと作画さんマジで良い顔させるね!
音響も良い、BEASTERSでも割と絶賛したけれどリクオの声優さんも良いし、ハルの役をやってる人も良い、わたくし大絶賛のID:INVADEDで重要な役をやっていたしここ数年でよく聞くようになった気がする。何よりも素晴らしいのが、シナコ役の人ね!初めてこの人を意識したのがシュタゲだか物語シリーズだか忘れたが、あの辺からすると大人で難しい役に対して素晴らしい演技をしてくれる。
本当にこの作品はしっかり作られていると感じる。最後まで楽しみすぎる。
視聴終了して
最終話まで視聴終了しました。☆の点数は満点。今まで満点をつけた作品は本当に少ない。でも、点数と内容には若干のズレがあるのでそこまで重要ではない事を伝えておきたい。
視聴を終了し感じた事は、よくこの内容をアニメで表現できたなというところ。物語は大人と呼べるほど物事をしっかりと割り切れていない、けれど、子供というほど自分の事だけしか考えてない、というわけではない二人の物語が軸になっている。
この微妙な時期はきっと誰にでも訪れるんだけれど、これをすぐに通過してしまう人と簡単に大人へと切り替えられない人がいる。それで、後者の二人が、友人と恋人の中間でヤキモキする。そんな話。
大人と子供の間にいる人間の機微を表現するのに、アニメが向いているのかどうかを考えると、正直向いてない。
じゃあどの表現が向いているのか、それは一長一短ではあるけれど、一番は漫画だろう。文字として、内面を見逃さずに読み解くことが出来るうえ、絵で心象風景だったり、空気感を演出することができる。
次に小説。同じ理由だけれど、絵の部分を文字で伝える必要があり、これはかなり、書き手の腕によって変わるので、難しい。
内面を語らせる事には一番向いているけれど、情報の取得にはどうしても書き手と読み手のレベルによって変わってしまう。
そして、アニメーション。なによりも時間が制限されている。さらに、どこか見逃した場合そのことに気づけないのがつらい。漫画ならコマを読み飛ばしたかどうかなんて分かるし、すぐに見返せる。
アニメではそうはいかない。どんどん流れていく情報を見逃さないようにしなければならないのだから。
見逃していても気にならないようなアニメは正直結構ある。それはつまらないという事ではなく、見逃しても気にならない内容のものだったり、ポイントをおさえていたら補完できるものだったりするわけです。
でも、この作品はそれを許さない。
見逃せば次の場面でどうしてこうなった! となる。それほどに繊細な内面の描写をする。
原作があり、脚本がある。この脚本には全くと言って良いほど手抜きは感じない。原作は正直知らないけれど、セリフや仕草、カット割り、かなり作りこまれていると感じる。一本のアニメを見るのにこんなに疲れるのは本当にスゴイ事だよ。
作画に満点をつけているのですが、このアニメは背景と絵では違うラインの取り方をしてますね。
というか、原画でのキャラの書き方に特徴がある。線が不安定なのだ。でもちゃんとラインは取れているから、崩れていない。太かったり、細かったり、途切れていたり、また少し揺れていたり、まっすぐだったりしているんだけれど、これも意識的に行ってのことだろう。
じゃあこれで私がどういう感想を持ったのか。見た人にどんな影響を与えているのかを考えてみたい。
この軸に置かれている二人。(ハルは違うからね)は前述している通りにかなり微妙なと時期にお互いがいて、不安定なんだ。その不安定な雰囲気をラインどりのやり方まで意識されている。自然と伝わるようになっていると感じた。
最初の線が活かされたまま動画になっているのも良い。また細かい動きが多く、止め絵でも良いと思う場面も動く。動くことで、ちゃんと表現されているものがあるから、余計でもない。必要だから動かしているんだと分かる。こういう細かさがちゃんとこのキャラクターの内面を描写しているだからこそ、もしなかったら、きっと動機に説得力が欠ける事に繋がる。細かいところまで動かしているから、物語として成り立っているんだ。逆にいうと動かさないと成り立たなくなってしまうか、つまらないものになっていただろう。
結末は個人的には好みではない。でもだからってこの作品の良し悪しが変わるわけでも無いっていうのが個人的な考え方。
それにしても、やっぱり声優の演技最高だった。実際、どんなに絵を頑張っても、脚本を頑張っても、声優だけで壊れてしまうことなんて度々起こる。作品の雰囲気を最大限引き出したこの選出は見事。
背景がスゴイのはもちろん序盤からなのだが最終回の井の頭公園。本物と遜色ない位に美しい、いや本物と違った美しさがそこにあって、それは本物と比べるものでもないのかもしれない。
世田谷線かな? あれもすごく丁寧な書き込みだった。背景さんスゴすぎます。扉の開き方も作りこまれていてビビった。
製作会社どこだよ。と思ったら動画工房さんで納得した。
週末よく井の頭公園に散歩に行くんだけれど、二人が話していた場所も分かるし座って本を読んだこともある。良いところなんだ。行ったことがなければ一度はおいで(だれやねん)。井の頭動物園(井の頭自然文化園)に象の「はな子」はもういなくなってしまったけれど、色々な動物が見れるぞ。
閑話休題。
話がそれすぎたので無理やり戻そう。
物語を楽しむアニメで物語自体が受け付けない場合もあるしそういう見方も正しいと思う。だからこそ自分には合わないって思った人にこそ見てほしい。ちゃんと合わなくても楽しめるだけの作りこみがしてある。
誰にでもおススメできる素晴らしいアニメでした。ありがとう。