「イヴの時間 劇場版(アニメ映画)」

総合得点
78.3
感想・評価
1417
棚に入れた
7637
ランキング
564
★★★★☆ 3.9 (1417)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

オリジナリティあふれる傑作

ロボット物です。設定の字面だけみれば普通の設定と言えるでしょう。しかし、脚本、キャラ設定、シナリオライティング、音楽、何れも非常に高いレベルでバランスした傑作です。

絵コンテ、演出、3DCG、撮影、編集、音響監督、原作、脚本、監督、ほぼ全てスタジオリッカの吉浦康裕さんが直接手掛けています。オリジナル作品です。オリジナル作品で、オムニバス方式の複数のエピソードと重ねながら物語の主題を終盤に向かって構成してゆく、しかも、観客をエンタテイメントとして引き付けながら。ほんと大した手腕です。演出、カット割りも、非常にしっかりしていて観客を引き付けて止まない。

出演するロボットたちのシーンを分けた演技も切なく、考えさせるものです。ロボットは果たしてプログラミングで人格(本当の意味のAI)を持つのか?持った場合、社会は、人と人の、人とロボット、更にはロボットとロボットの関係はどうなるかのか?とても興味深い論点を次々と繰り出し、それを複数のストーリーとして重ね、エンタテイメントとして展開してゆく。決して冗長ではなく、どちらかと言うとそぎ落とした演出、カット割りで。はてさて、吉浦康裕は、この作品を作るのにどれだけの時間を費やしたのだろうか?

ヒューマノイド型ロボット物の生みの親であるアイザック・アシモフが提示した有名かつ伝説的とも言える設定「ロボット三原則」があります。これを使ってSFフォーマットでの推理小説を初めて書いたのもアシモフ。イブの時間でもこれを使った物語があります。推理小説というより、心のわだかまりを対象にしたハートウォーミングな物語が終わり近くにあります。これも白眉と言ってよいでしょう。

「心のわだかまり」とあるように、この作品をつらくぬ主題は「断絶」「すれ違い」「誤解」「でも隠しようがないお互いを理解したいという想い」、そしてラストに見える「光明、救い、願い」。非常に普遍的な主題を真正面から取り扱い、観た人に、”想い”を残す。そんな作品です。

そして、映画版の主題歌がKalafinaの「I have a dream」です。キング牧師が黒人解放(=断絶からの救い)を願った有名な演説中のメッセージが題名の楽曲です。なんとも、粋な演出です。

座布団100枚!あしからず。

投稿 : 2020/05/12
閲覧 : 311
サンキュー:

11

イヴの時間 劇場版のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
イヴの時間 劇場版のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

tagが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ