「虫籠のカガステル(Webアニメ)」

総合得点
68.2
感想・評価
105
棚に入れた
437
ランキング
2205
★★★★☆ 3.5 (105)
物語
3.4
作画
3.4
声優
3.7
音楽
3.3
キャラ
3.4

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ネタバレ

chariot さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

虫と人、どちらが世界を統べるのか?

漫画原作の全12話。Netflix配信。
ジャンルはファンタジー、バトル、SF。

人を喰うカガステルと呼ばれる大きな虫が飛び交う世界。
虫と戦い駆除する「駆除屋」の少年キドウはある日虫に襲われた親子に出会う。
瀕死の父親から「娘のイリを母親の元に連れて行って欲しい」との遺言を聞き入れたキドウはイリを巡る騒動に巻き込まれて行く・・・
そんな感じの作品です。


まず感想から。
面白かったです。
ですが多分多くの作品に触れられてきたアニメ・漫画ファンの皆様からするとありきたりであり見えた未来である…とも思います。
世界設定やキャラに斬新さもなく普通の作品。
それでも、個々の心理{netabare}(特にアハト){/netabare}や矜持は深く面白く、完結までしっかり作られている点は評価に値すると思いました。

結論から言えば世界的に問題は解決していません。
何が原因で虫化が起こるのか?虫化を抑制する術はないのか?虫から安全に暮らせる世界にはならないのか?
…それらは全て解決しません。
あくまでも「キドウとイリ、その周り人の物語」です。
少年が少女と出会い、少女の背負った宿命から抜け出す手助けをする。
そんな単純なストーリーです。

虫には銃弾が効かない。
なのにいつまでも銃で応戦する兵士の頭加減とか。
剣が触れる際の火花はともかくつばぜり合いの間もピカピカするエフェクトとか。
色々難点がなかった訳ではないんですが…何か惹かれるものがあったのかもしれません。
はっきりと「ここが凄い」と言い切れないんですが…僕としては視聴中に途中で観るのをやめるという選択肢は出てこなかったです。


作画3.5
3DCG作品の増えてきた昨今ではイマイチな感じもありました。
バトルシーンもそれほど見応えがなく、虫もCGとは相性が良さそうなのになんだかハリボテ感があり・・・
予算的にそれほどかけてないにしてももう少し、で3.5です。

声優4.0
ネトフリ作品は基本的に有名声優さんを起用する傾向にありますが今作も同様。
はずれはないです。
印象に残ったシーンだと
{netabare}・キドウがカシムを駆除した後、洗面所で声を上げるシーン。
悔しさと悲しさが混じった非常に良い演技。細谷にハズレなしで◎
・エメト・キーリオも櫻井。
クレジットないですが父役も兼ねてましたね。パッと聞いただけではわからないおじさん声もなかなか面白かったです。
・ほんわか少女と強い意思
花澤さんは幼女っぽさもありながら腹を括った感のある強い声も魅力です。{/netabare}
一部モブさんたちに何故そんな甲高い声?みたいな男キャラもいましたが概ね問題なしで4.0です。

キャラ4.0
作者が女性だろうなあと思わせる男性陣。
ぶっきらぼうで粗暴だけど優しいキドウ。
深い闇に囚われた悲しい存在アハト。
特にアハトの心理の深堀に関しては間違いなく女性的。(アハトがではない)
拗らせまくって複雑で、でも根はいい子。
ややくどいくらい丁寧に彼の心理を描く事での引き立て方が上手い。
お節介なオカマ・マリオさん、人情に厚い軍人・カシム、研究者であるが故に子に愛情をかけられなかったフランツ、ボロボロのキドウを赦してくれたカーラ。
個々の置かれた状況から全てが正解ではなかったけれど世が世ならもっと幸せになれた人たちが切ない。
嫌いになれない人物を作り上げた手腕はお見事で4.0です。

好きなシーン。
{netabare}アハトの目が青になる。
ラスト、虫たちが飛び交うメインタワーでアハトの目が青くなっていました。
赤は敵対、青は戦意なし。(王蟲とかノロイと一緒)
作中通して赤だった=常に戦っていたアハトが全てが終わり心に穏やかさを取り戻せたと知る良い演出。{/netabare}

残念だったシーン。
{netabare}ペトロフ大尉の行動が説明不足。
アニメを観ていて通商連盟区に援軍を呼びに行ったE-05の2人組がはめられた感のある言動からのアイシャ率いる避難民間人を保護、05に加勢する流れに違和感を感じました。
web漫画を読んだところタネ明かしがありました。
「05で反乱の兆しあり」アドハムに対する警戒の為に駐屯していた、と。
05が暴動を起こす警戒ではなく05に対して反乱を企てている輩の対策な訳です。
連盟区は連合軍が嫌いで連合軍同士争ってくれるのは大歓迎なのでペトロフ大尉に協力していた、と。
キドウの過去回で出会っているペトロフ大尉が悪いヤツなのか?と考えると食えない男ではあるが軍人としては敵ではない位置にある気もして疑問のあったはめられた感ではありますが、ここは少し意図を説明するべきでした。{/netabare}


まとめ。
割とありふれた内容でありながら話自体は1つ1つ丁寧に作られています。
前半はキドウとイリの出会いから05での「カガステルのいる日常」を描き、後半ではイリの出生など本題へと物語は進んで行きます。
どうにもならない事、上手く出来なかった事、間違っていた事…すんなりハッピーエンドとは行きませんが綺麗にまとめてある良い作品だと思います。
一応虫が若干出てますので虫嫌いな方にはあまりおススメ出来ません。
若干のグロもありますのでそちらも苦手な方にはあまり…
話自体はそれほど入り組んでなく観やすいと思います。
気になった方で別件でネトフリ契約した!って方はとりあえず観てみても損はしないと思います。



↓↓web版が無料公開されています。
サイト:チキンの魂
https://web.archive.org/web/20130709132032/http://www.torinikusoul.com/index.html
(トップページからだと色々リンクの不具合があるようですが一応ここから全話読めるはずです。)
※書籍版では加筆等あるようです。

投稿 : 2020/05/10
閲覧 : 302
サンキュー:

4

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