「君の名は。(アニメ映画)」

総合得点
91.2
感想・評価
2514
棚に入れた
11511
ランキング
39
★★★★★ 4.1 (2514)
物語
4.1
作画
4.5
声優
3.9
音楽
4.2
キャラ
4.0

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tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

新海誠の”全身全霊”

説明の必要がないほど、誰も知る傑作。老若男女、外国人でも、誰が見ても最高レベルのエンタテイメントだと思います。

もう何回も見ているので、少し冷静になったので、感想を書いてみようかと。新海誠は、「秒速5センチメートル」で知り、他の作品も見て高く評価していました。圧倒的な質感の画面作り、作画へも相当高い水準を求める完璧主義者のように見ていました。

しかし、彼の物語には、すっきり感が不足している。ただし、圧倒的に心に引っかかりを残す作家だなと。正直、「5センチ」も「言の葉」もかなり切なく、苦しい。簡単に言うと見続けるのが少しおっくうになるくらい。確かに、そんなグサッとする引っかかりを残すのも物語戦略としてはありかもとは、思っていました。

ただ、結果として、高い評価を得ながらも「売れている」とは言い難かったと思います。そして「君の名は。」です。彼のことを高く評価する人はたぶん数多くいた、そのため、たぶん予算も、人材も投入された。

複数回、この映画を見て、おそらく新海誠は、この映画のシナリオについて、3~5倍ストーリーを膨らませた上で、厳選に厳選を重ね、一秒たりとも演出上無駄な時間をなくし、必要にして十分な高密度の物語を完成させたように思える。たぶん、それでも映像としては、実際の上映時間を大幅に超えるストックがあったとさえ思える。それを更に最後の編集で、更に絞り込む、ただの一度のリダンダンシー(重複)もなく。

この映画を分析的に見てると、非常に苦しくなるのだ。どこにも寸分の余裕もない。ひたすら集中だ。笑いのシーンも悲しみのシーンも全集中(鬼滅!)。

電車ですれ違うシーン(これは、東野圭吾「パラレルワールドラブストーリー」のオマージュでしょう。)があります。二回あります、完全なる対比演出でしたが、私は、これは来るなと、対比とはとらえませんでした。ああ、これはいつもの新海エンド(つまりバッドエンドを予想)だなと。でも、そうならなかった。使われた場所は、まさに新海エンドにおあつらえ向きだったが。実は、これによって、新海誠がクリエーターとしての嗜好を曲げてでも、全身全霊を掛けてこの映画の成功に集中したのだと感じました。彼は少し苦しんだのかもしれないとも。

彼はこの作品を制作中、相当な高いプレッシャー下にあったのではと感じた次第です。もしかしたら、しばらく監督しないかもと思ったりもした。しかし、少し時間を経て、新たな作品を生み出しました。なんとなく、外野の意見で申し訳ないが、新海誠、一皮むけたのかな、と思った瞬間でした。

そう、東野圭吾のパラレルワールド(小説)は切ないエンドだった。東野圭吾の小説は、何故か切ないエンドが似合う。映画化は数多くなされたけど、ラストは小説とは変わっていた。個人的には小説のどうしようもない切なさと絶望感が好きだったが。

映像コンテンツのバットエンドは、相当に難しいことなのかもしれない。これはこれで、また宿題として考えたい。

新海誠の次回作「天気の子」はまだ見ていません。我が息子たちは見たそうで、エンドが意味深らしいです。彼らは決してネタバレしませんが、私に負けず劣らずひねくれている。もしかしたら、新海誠は長年の課題の解決策を見つけたのかも。天気の子を見て、私の宿題も深まりを見せるのが楽しみです。

投稿 : 2020/05/11
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サンキュー:

18

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