Progress さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
空挺ドラゴンズ レビュー
Introduction(公式サイトより引用)
空と龍に魅せられた乗組員たちの旅を描いた、桑原太矩の「空挺ドラゴンズ」(講談社「good!アフタヌーン」連載)。その美麗で壮大なファンタジー世界と、そこに生きるキャラクターたちを、「シドニアの騎士 第九惑星戦役」「BLAME!」で副監督を務めた吉平"Tady"直弘がドラマティックに描く。シリーズ構成・脚本には「暗殺教室」「アルスラーン戦記」など数々の人気作品を手掛ける上江洲 誠、音響監督を「スパイダーマン:スパイダーバース」、「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの岩浪美和がそれぞれ務める。そしてアニメーション制作は、ポリゴン・ピクチュアズが担当。「シドニアの騎士」「BLAME!」のスタッフが再集結し、
圧倒的なハイファンタジーの世界を魅せる。
Story
空の覇者、龍<ドラゴン>。
その存在は多くの地上の人々にとっては脅威・災害であり、
同時に薬や油、そして食用としての価値がある“宝の山”でもあった。
そんな龍<ドラゴン>を狩る存在がいた。
捕龍船を操り、空を駆け、龍を狩り、旅をする。
彼らは「龍捕り」。
これはその中の一艇“クィン・ザザ号”とそのクルー達の物語である。
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さて今回はざっくり書いてこうかな、なんて考えています。
ファンタジーな存在である龍を、人間側は魔法などは使わず火器も駆使して戦うという、ローファンタジーな感じで良いですね。
龍狩りの時代の黄金期から斜陽産業となっている設定にしたのは、人間同士の対話を重視した結果からでしょうか。
アニメの中の一つの見どころとして、龍の肉を使った料理を魅せるシーンがあるんですけども、正直美味しそうに見えはしなかったんですが、それについてはさらにCGの進化を期待する所ではありますね。
この作品のCG、非常にクオリティが高いですよね。セルルックで表情や動きの自然だと本当にデジタルセルアニメを取って代われる技術だなあと感じます。
目が隠れているキャラクターは動かしやすそうだと感じました。逆に女性や女性的な顔立ちに近い男性キャラは目を細かく変化させるのが大変そう。
話を料理に戻しますが、作品内の見どころ化は失敗していますが、メインストーリーに関わる人物達、タキタやミカなどの考え方を表現する上で「命を頂く」という行為が重要視されていましたね。
肉がまずくなる捕り方とか調理の仕方とかをみせるのは、「捕ったからには美味しく食べる」「責任をもって食べる」などの自然との付き合い方を表現したかったのだろうなと。
ジブリ並みとは言わないけれども、匂いであるとか、柔らかさであるとかを言葉でなく演技でなく映像で伝わってくれば良かったかなと思います。
あと、声優さんがやる咀嚼の演技は、この作品のものはあまり好きではないですね。
アクションシーンとしては捕鯨のシーンなわけですが、そこに関しては良かったんじゃないでしょうか。ただまあ、一つ一つの捕鯨に人物を掘り下げるような物語を入れてきており、ドキュメンタリーのような、ただひたすらに捕る作業を見せて人間模様を見る楽しさのようなものはありませんでしたね。私が言っているのは「ベーリング海の一攫千金」のような、状況や作業量によって変わっていく人の有り様のようなものは、この作品には感じませんでしたね。まあ、それは元々期待していないので別にいいのですが。
ファンタジー的には、町の一部を光線で破壊した龍というのが一番の見どころですが、ローファンタジー的に捕龍艇は、人の知恵を駆使してなんとか大きい獲物を狙うという、少し派手さに欠けた部分はありますね。
メインの物語について、主人公のタキタが中心でいることは違いないのですが、クイーン・ザザ号の乗組員の何人かに焦点を当てる物語を展開したせいか、作品内の世界情勢が変わるような大きな物語に巻き込まれたりはしませんでしたね。
むしろ、料理もそうですが、生き物を捕るという仕事、または仕事の中での出会いや関係を通して、人間の内面の変化を描きたかったように見えました。
さていかがだったでしょうか、「空挺ドラゴンズ 」。
内省的なテーマをメインに据えて、登場人物の成長を描く物語だったためか、作品内の世界情勢に関わるようなこともなく、派手さを抑えた物語だったと感じます。
あえてそういった世界情勢を出さずに、「食べて生きる」という行為にテーマを絞っているのだとすれば、飾り気がない真面目な作品という印象ですね。
ローファンタジー的な要素、火器をもってしてファンタジーな龍を捕るという、そこにロマンを感じていたのですが、基本的に捕龍船は派手に倒すことはしません。それは、苦痛を感じさせることをあまりさせない、生き物を捕るという事を、派手さを出すために装飾をしないという、そういった方針は感じられました。
ファンタジー世界の中で人物の内面の成長を描くという試みを見たい方にお勧めです。