tag さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
終わりよければすべてよし、が、ちょっとな。。。
確かに、TVシリーズの「憂鬱」28話だけで終わると、終わった感がない。終わった感というか、締めのラーメン一杯というか、そんな作品。ただし、ちょっとな、、、と言った感じが残るのも事実。
作画レベルは爆上がりです。が、本題はストーリー。
さて、締めの一杯には、はやり、どんでん返しが必要。ハルヒのキャラ設定の中で抜群の無双設定を誇るのが、「長門」です。TVシリーズでもこの無双設定を存分に使ったストーリー展開を多用しますが、やはり映画でも「長門」を使います。
この「消失」の面白いところは、「憂鬱」と対比関係になっていて、それを利用したストーリーを構築しているところです。その対比の中で、最も極端になる「長門」を持ってきたのは、まさに満を持しての登場。すこしあざといですが、ファンからすれば予定調和の心地よさがあります。ちなみに主人公「ハルヒ」だけは対比になっていません。彼女は極端に振ってもハルヒはハルヒなので。これも、ある意味、物語を進める重要なプロットで、物語構造としてはポイント高いです。
「憂鬱」全体で張ったプロットを、「長門」の無双設定と、対比(コントラスト)の面白さで色付けするのは、とても「正しい」が、「驚き」はちょっと緩和されてしまいます。音楽設定まで見事な対比。物語の設計思想がきれいすぎて、これまたエンタテイメントに欠かせない「発見・ディスカバリー」が薄れる。
そんな感じを観終えた今、思ったりします。すばらしい作品ですが、きれいに設計されすぎ。予定調和と締めの一杯を欲する「消失」からのファンからは、その上映時間の長さも含め、まるで「一風堂」(よくできた=よく設計されたラーメン)だなと。
まあ、私もそんな予定調和を求めていた一人でもあるので、良しとしましょう。作品単体としての評価は少し低いですが、作品世界に没入した身としては、高めの評価です。あしからず。