ミュー さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
独特なまた鋭い内省的世界観に魅了された!
このアニメも一番最初のシーンは
とても強烈で気にならないわけが
ないような強烈な世界観の作品でした。
{netabare}
呪力が使えない(大人になれない)者は
弾き出され、初めから存在すらして
いなかったかのように忘れられていき
(実際アニメでは処分されているわけで…)
呪力を学力などに置き換えれば
完全に優生主義的な社会背景を暗示していて
自分がまた排除されるんじゃないかと
大人や社会に怯える恐怖心や不安など
深く的を射ていると感じました。
また八丁標の中だけが
生活世界であって外界に出ると
孤独や強欲などで人を人でない
業魔や悪鬼にして不幸と混沌しか
もたらさないような怪物や、言葉を話す
バケネズミ(奴隷)からそうでないものまで
それらへの凄まじい軽蔑、恐怖心と拒否感が
よくよく描かれているなと感じました。
科学技術などの知識や文献も
完全に一つの統治下で秘密文書化されて
庶民は呪力を便利なように使用するのみ
の質素な生活をしているようで…
ただバケネズミも実際過去に人間が
実は造りあげたとか…それが知識を持って
呪力を絶対とする人間たちに後一歩で
統治権を取って代わろうとするシーンは
何か人間に対してのものすごく皮肉な
メッセージ性も感じられました。
{/netabare}
また他にはないような独特な世界観で
かつ誰もが思春期に入っていくうえでの
強烈な孤独感や人間の自己中心的な残酷な側面も
世界観そのものに集約され表現されていました。
子供の頃はみんな仲良く一緒に
だったはずなのに、成長していくほど
バラバラになっていき様々な辛くて
怖い思いをしながらそこで挫折する人も
乗り越える人も居て…何も感じなくなって
みんな仲良くというような発想も
馬鹿だみたいな大人になっていくような
現実に対して子供の頃の固定観念に
縛られないところや基本的な人との関わり
など思い出させてくれるような作品でした。