ぺー さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
四半世紀エヴァンゲリオン
25年前だそうです。
2020年初頭。我がテレビ神奈川に於いて、その神奈川を聖地としたアニメ至高の2トップを再放送することになりました。一つは『SLAM DUNK』もう一つはこれ『新世紀エヴァンゲリオン』です。
ちなみに両方とも未経験。あまりにもレジェンド過ぎてついつい尻込みしてしまうタイトルだし、こういう機会でもないとってやつでした。幸運に感謝します。
そりゃ面白かったですよ。古いとか関係なくですね。
いまさら全くネタバレなしは不可能なタイトルです。登場人物の名前は知ってるし、桜 稲垣早希のモノマネだって見てる。アメトークのエヴァンゲリオン芸人で中田のあっちゃんの熱弁を聞いてたりもする。なにせカラオケ行けば誰かが歌ってるし自分だって歌える。堂々のアニソン部門一位です。
視聴中はそんな雑念に適度に邪魔されながら常に二つの視点で作品を楽しんでおりました。
ひとつめはところどころつまみ食い知識を交えた25年後視点での感想。
もうひとつは、仮に25年前に観てたらどうだったんだろう?という視点での感想。
散々語りつくされてるでしょうから考察どころかあらすじや設定みたいなのは割愛しますよ。
シンプルな感想に留めておきます的な以下、
■四半世紀後の視点
既に劇中年代を超過しているのが感慨深い。最終話付近は2016年の設定です。思えば世紀末を控えノストラダムスがー!とやや不穏な空気がウケてた時代。終末論的文脈に見事合致する不穏な物語です。「使徒」なるネーミングも仰々しいですしね。時代を感じるとしたらその点くらいでしょうか。他とくに気になるところなく物語に集中できました。
ミサトさん、アスカ、綾波レイのトリプルヒロインだといえそうですが、私みたいな作品観てない人だと綾波レイのビジュアルイメージが強過ぎませんかね?コラボ商品で先頭に立つのはいつも彼女です。てっきり彼女がヒロインなんだろうとふんわり思ってましたが、ところがどっこい。三人三様各々魅力がある感じ。良い意味でファンがばらけそうな贅沢仕様でした。
これ凄いことだと思います。三人の女性を適当に散らしながら深掘りし起伏を用意している。主人公は碇シンジくんで14歳♂。「少年よ神話になれ~」な成長譚かと思いきやこのシンジが一番ふり幅が少ない。思えば男も女も関係なく主要なところを占めるキャラたちは初見のイメージとは違う裏の顔を持ってました。あたかもシンジくんがぶれなかったおかげで安心してみんながぶれてるかのよう。
物語は“これがセカイ系の原点です”ということになると聞いてます。
わりとスッキリしない終わり方をしますがそれが良いんだとか。
そういうものと思うことにします。不満というわけではありません。
{netabare}演出で面白かったのは何秒か画も音も停止するシーンが複数回あったことです。ラジオなら放送事故ってやつ。これで緊張感なり視聴者を集中させる効果を生みます。あまりお目にかからない演出でした。{/netabare}
{netabare}それとミサトさんのアヘ声ですかね。ホテルのベッド横だけ映して1分以上声の芝居だったやつ。別に深夜でなく夕方やってたんだよなぁこれ。良い時代です。{/netabare}
■四半世紀前の視点
1995年秋からの2クール毎水曜18:30。リアタイの放送時間帯でございます。
毎週水曜はサークル活動の日で、運動してそのまま飲み会がルーティンでした。しかも冬は雪山に籠ります。まったくノーマークで認知してませんでしたこれ。
仮に放送予告を知ってたらどうだったか?
もしかするとスタッフ/キャストに食いついてたかもしれません。
リアタイで『ふしぎの海のナディア』を楽しんだ経験があるのでそのまま流れたかも。『きまぐれオレンジ☆ロード』の劇伴の人だというのもひっかかりが。なにせサントラ持ってましたしね。
声優では三石琴乃さんと林原めぐみさんが強烈な引力になったと思います。
片や『セーラームーン』。高校の時の担任齋藤先生/副担任伊藤先生。{netabare}ついたあだ名はクンツァ伊藤とゾイ齋藤。{/netabare}地方の進学校とオタ率高そうだとはいえ驚異の一般浸透度です。つまり月野うさぎは超有名。
片や林原さんは私にとっちゃ『らんま1/2』の女らんまの中の人です。女子ウケしてた『天空戦記シュラト』『魔神英雄伝ワタル』のビッグタイトルでも主要キャラでしたが、あくまで私には女らんまの元気なイメージ。だから『ちはやふる』桜沢先生での再会時、最初よくわかりませんでした。
でチャンネルひねれば、セーラームーンはめっちゃおばさんになってるし(注:10代♂からみた20代後半♀の印象)、女らんまから表情が消えているぞ、と驚くのです。掴みはバッチリでしょう。
そして沼に落ちてたかもしれないですね。
多感な10代です。シンジ君に共感するなんてことはあり得そう。そして一個人の内面(闇)が世界の一大事に直結してる“セカイ系”ストーリーは若人と波長が合いそうです。
いや確実にはまってるな。というのも先述『ふしぎの海のナディア』で今でも覚えてるサブタイトル「裏切りのエレクトラ」。とあるキャラがこれまでの素敵なお姉さんから嫉妬を拗らせた愛の奴隷だったことが分かってしまうというガキンチョにはトラウマなシーン。強烈な人間の業を見せつけられました。それと似たような展開が複数人に用意されてるんですもの。たまったもんではありません。
TVアニメといえば頭身はやや少なめでそれなりにデフォルメされたものが主流。それこそ『らんま』『セーラームーン』がそうでしょう。それが体の線も含めて現実に寄せているのが一大事です。
物語もオタク受けしそうなもの、もとい子供だましじゃなさそうなもの『ロードス島戦記』『ファイブスター物語』『サイレントメビウス』あたりはOVAどまりでした。地上波に乗ることはありません。それが下界に降臨したような衝撃はあったでしょう。
何が斬新だったか?
そんなの語りつくされてますよね。あくまで当時の皮膚感覚を引っ張ってきての私見です。
声でキャラでストーリーでそして演出でハマるためのトラップが仕掛けられて逃げられそうになかったな。やはり名作には理由があります。
私と同じように未視聴だった方は、それこそ四半世紀の時を越えて“レジェンドアニメ補完計画”を発動させてみてもよいかもしれません。
視聴時期:2020年1月~年6月 地上波再放送
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2020.05.06 初稿
2020.12.16 修正