おーいん君 さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
この時代は近いのに、エンターテイメント化されてない。
この時代を背景にしたエンターテイメントはあまり見ていないと思う。
アイヌ民族の扱いについては政治的な意見があるかもしれない。
けれど、北海道を舞台にアイヌ民族の少女が出てくる設定と、主人公が軍人というのはとても良い印象だ。
どこか、私達が現代に求めているのは便利さや賢さであるように思える。
90年代が30年前になる現代では、スマートフォンで出来る事はまるで魔法のような事であるのだし、多くの企業が法律に準拠しようとしている。
セクハラは叫ばれて久しいが、50年以上前に女性の尻を男性がすれ違い様に触るなんてことは、はしたない事ではあれ、大騒ぎすることじゃない、という風情があったような気がする。
当然、私が幼かった35年前にも、女性蔑視の風潮は当たり前にあったのだし、それをおかしいとも思わなかった。
20年くらい前では、他人が吸う煙草の煙を「煙たがる」人ばかりではなかった。
さて、何を言いたいのかというと、ここ数十年で変化した価値観の物差しをこれだけ時代を隔てた作品に用いるべきか?だ。
私の叔母は明治生まれの人で、叔母のおじいさん(私にとってはひいひいじいさん)という人だかが江戸時代の末に生まれたという話を何度も聞かされた。
豪胆で頑固者、自分の見たこと以外は信じない。そんな人間性を叔母は、「江戸時代生まれの人だからね」と毎回枕詞のようにつけて現していたことが忘れられない。
明治に生まれた叔母からしても、それだけジェネレーションギャップというものがあったのだろう。(その言葉を叔母は知らなかったが)
つまり、私達ほど価値観が変容していないにせよ、気をつけてみるべき時代背景があると思う。
価値観の違いというのは、物語を語る上では障害でしかない。
けれど、本作はうまいこと目をそらしている部分が見受けられた。
すなわち、現代の我々が視聴しても違和感無く視聴ができるのだ。
これ、うまいこと実写映画化してシリーズにしたらいいのに。と思ってしまうほど内容は面白いし、引き込まれる作品だ。
ただ一つ。
継続して物語が続いているものの、まだ終わりの見えない作品だ。
名作となるかどうかは、見た人間がどう感じたか、作品の力に依るところが大きい。
私達はこの作品を受け止める用意をしておくべきだ。