「鋼の錬金術師(TVアニメ動画)」

総合得点
87.8
感想・評価
1574
棚に入れた
10609
ランキング
142
★★★★☆ 4.0 (1574)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.1

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ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

思ったよりヘヴィな物語 いい意味で裏切られました

原作未読。
アニコレでの評価が高く、気にはなっていました。
ストライクさんの一気観Best10にランキングされてたので、
一気観開始!

【作品概要】
 錬金術が普通に認知されている世界。
 ただし錬金術とは金を作るものではなく、
 物体を理解・分解・再構成して作り変えるものという定義です。
 時代背景的には20世紀前半といったところですか。
 
 子供のころ彼錬金術に興味を持ち、自己流、そして師事して学び
 錬金術の高い能力を持っていたエルリック兄弟。
 彼らは母親が亡くなった際、禁忌である「錬金術で人体を作り出す」
 ことに挑み、弟アルは全身を失い、兄エドは右腕・左足を失います。
 しかも母親の蘇生には失敗します。
 
 兄弟は失ったものを取り返すため、さらなる錬金術の技術向上を
 目指し、旅に出ます。

【作品に対する感想】
 試聴後知ったんですが、この2003年版は最初以外は原作と異なる
 オリジナルストーリーなんですね。
 設定、世界観、物語よくできていると思います。

 この物語での錬金術は命を取り扱うものでもあり、
 戦争や軍が絡んでいることも手伝って
 夕方アニメのわりに残虐なシーンや倫理的にきつい描写も多かったです。

 さすがに絵や表現は古さを隠せませんが、
 しっかりとした設定と物語で、2020年時点で視聴しても
 十分耐えうると思います。 
 
 がっつり重厚な物語を堪能したい方にはお勧めです。
 
1)物語
 全51話と4クール超大作です。
 しつこいほど毎話冒頭で等価交換についてのモノローグが入ります。
 (最後のほうでちょっと内容が変わりますが)
 作品のルールを徹底するするうえでいい演出だったかなと思います。

 錬金術という便利な力がありつつも、
 命は一つで死んだら終わりというのを一貫していたのは良かったと思います。
 
 才気あふれ、悲壮な覚悟を固めた兄弟もまだまだ子供。
 ウィンリィの祖母やマリア・ロスの指導を受けながら
 陰謀渦巻く過酷な世界で成長していくところは好印象でした。

 そして人間関係の複雑さ。
 何が絡んでどう繋がるのか、まさにカオス(無茶苦茶という意味ではなく)
  
 ただ夕方に放送する内容にしてはちょっとやりすぎたかなーって
 感じたところもありました。その辺は下のほうに…。


2)作画
 よく言えば懐かしく、悪く言えば古い表現が多いです。
  
3)声優
 内海賢二さんご存命の頃の作品ということで、
 懐かしかったです。やっぱりあの声は真似できませんよね。

5)キャラ
 とにかく各キャラは非常に良いです。
 ➀エドワード・エルリック
  錬金術の才能に恵まれたうえ、努力することを厭わないですが、
  若さゆえの過ちか独断専行型で失敗すること多数。
  弟アルフォンスと弱点補完していいコンビです。
  自らの手を汚すことを厭わない覚悟は素晴らしいですが、
  もう少し周りを見て意見を聞き、力を借りることも覚えていけば
  さらに成長しそうです。

 ➁アルフォンス・エルリック
  なんつー出来た弟でしょうか!
  この子見てるとエドにちっとは耳貸せ!と言いたくなります(笑
   
 ➂ロイ・マスタング
  理想を胸に自らの手を汚してでも理想を実現できる立場を目指すものです。
  この人の覚悟のほどは痛いほど共感できました。
  ちょっと最後の行動は「え?」と思いましたが、それはまた下のほうで…

 ➃ウィンリィ・ロックベル
  幼馴染ヒロインポジションの娘です。
  気の置けないやり取りは厳しい物語の中での清涼剤。
   
 ➄ロゼ・トーマス
  最初に登場して、そのままオサラバかと思ったらまさかの戦線復帰。
  初期の印象があまりよくないですが、あまりの悲痛なその後に
  守りたいその笑顔的ヒロインに。
   
6)好きなシーン
{netabare}
 ➀人は何かの犠牲無しには、何も得ることは出来ない。
  それが錬金術における等価交換の原則だ。

  「犠牲」というと悲観的な印象なので、私は「対価」と
  置き換えて聞いていました。

  これを聞いて私は「うん、そうだね」と思いつつ二つのことを
  思いました。
  壱)対価を払っても成果が得られるとは限りません。
    ただし、対価を払わない限り得られることはありません。
    よって総じてみると何かを得る(成し遂げる)には
    等価以上の投入が必要です。

  弐)等価といいつつ、価値とは手にする人によって変わるものです。
    うまく交換しないととんでもないレートで交換する羽目になります。


 ➁そんなこと自分で考えろ
  立って歩け 前に進め
  あんたには立派な足がついてるじゃないか
 
  好きなシーンというより好きな名言ですね。
  直前のロゼの「何にすがって生きればいいの?」には
  ちょっとイラっとしましたが、
  いろいろ背負ってきたエドがいい指導してくれました。

 ➂イズミ 人体錬成した弟子を殴って抱きしめる
  どっちも彼女の本音と思うんですよ。
  やった結果を知ってるからこそやるなと教えたことを破った憤りと、
  その苦痛を包んであげたい気持ちと。

 ➃ロイ・マスタング 逃亡兄弟にキレる
  兄弟を個人として気にかけてきたにもかかわらず、
  頼ってくれなかった個人としての怒りをぶつける大佐に
  ものすごく共感しました。
  そこまで信頼関係が築けなかったのは
  子供のエドたちの問題か、それを諭せなかったマスタングの問題か…。

{/netabare}

7)ちょっと「?」と思ったシーン
{netabare}
 ➀ロゼ声を失う
  オリジナルストーリーであれば夕方の放送でここまでやる必要
  あったかな?と思います。
  直接的な描写はないにしろ、{netabare}強姦された挙句妊娠出産{/netabare}ということがあったわけですよね?
  確かにそのほうが軍への悪感情が煽られるわけですが、
  物語上必ずしも入れる必要があったのかと思います。

 ➁ロイ・マスタングなぜか武装蜂起
  かなえるべき理想のため自身はもちろん、不条理も何もかも
  切り捨てて前に進んできたはずが、最後の最後で蜂起。
  しかも彼の理想を打ち捨てる覚悟で。
  
  いや、そうしたら理想を信じて犠牲になった人たちが浮かばれんのですけど。
  とくにヒューズさん…。

  あれだけの絶望の中でマスタングさんのように
  高い理想を持ち続けられる人も少ないですが、
  同時にそれを成せる力を持っている人はもっと少ないんです。
  マスタングさんの代わりはほぼいません。
  ならば何があっても道を変えるべきではなかったと思います。
  

{/netabare}

投稿 : 2020/07/08
閲覧 : 323
サンキュー:

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