takato さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
始まりにして異端。オリジナルでない者たちへ…。
本作はゴジラシリーズにおける初代ゴジラくらい異端であり、日本映画で唯一アメリカのトップボックスオフィスに食い込んだ作品である。
初代ゴジラと同じく、見てみれば本作が単なる娯楽や子供騙しではないことは明らかだろう。
そこにあるのは産まれ落ちてしまったことの悲しみがあり、それに釣り合う自己犠牲という愛がある。
テンポよく進む物語、生き生きとしたアクション、そしてなにより作り手の本気な想いが作品を超えて伝わってくる。
劇場公開版にはなかった開幕10分くらいのプロローグ。アイツーとの別れ、ロケット団首領サカキとの出会い、少しも緩くない集中度がみなぎっている。アイツーを作った博士は明らかに、アトムの産みの親の天馬博士がモデルだろう。
オリジナルでもない、目的も特に持てない存在。それは現在の私達自身の似姿だろう。力はあってもどうしていいかわからない、自分が何者かもわからない。そんな者たちがどうすればいいのか?。
その答えは決して安易には出せないだろう。しかし、本作の終わりは希望で終わる力がある。子供に対しては、大人は誠実さと希望を示さなくてはならない。産み出された者たちには、どうか祝福と道しるべを。