ワドルディ隊員 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
日本を代表する2000年代に制作されたダークファンタジー
この作品は、荒川弘の漫画を原作としたTVアニメである。
実は2003年に一度アニメ化がされていたのだが、
その当時はまだ原作が完全に終了していたわけではなかった。
そのまま放送すると原作に追いつく恐れがあったため、
途中からはアニメ独自の完全オリジナルストーリーとなっている。
(相当前にはなるが)旧アニメを視聴していたので、
存在は知っていたが、
原作通りに制作されていたわけではないこと、
2009年に制作された本作があること
GWという長期休暇が重なっていること
の3つが重なったので、これを機に視聴することを決めた。
いわゆるダークファンタジー物の一つではあるが、非常に
知名度が高い作品であるため、相違点や詳細に関しては
省くことにする。
全体を通した感想だが、想像以上に濃い作品であった。
ギャグの部分でテンポがかなり悪くはなったものの、ここぞ
という時の見せ場はきちんと用意されているため
最後まで完走することが出来た。
設定の部分においては群を抜いているレベル。
最初の頃は気づけなかったが、見終われば人気作に
なるのも納得がいく。その中でも特に興味を惹かれたもの
を抜粋。(念のためにネタバレ表記)
各地で戦争が引き起こされるのはなぜか。
{netabare}
故意に戦死者を出して、魂のエネルギーを集めるのが目的。
とある物質との関りもある。
{/netabare}
国の誕生経緯。
{netabare}
恐ろしい計画を企てるために建国した。
敵陣営のホムンクルスは国を利用して恐ろしい計画を
企てたのではない。
{/netabare}
なぜ人体を錬成してはいけないか。
{netabare}
民衆に軍隊を持たせないようにするため。
{/netabare}
主人公を含む主要メンバーそれぞれに明確な役割が
与えられており、このキャラは不要だと感じたことは
ほとんどなかったように思う。
個人的に思い入れのあるキャラクターが非常に多く、
選び出すとキリがないだが、ここではあえて
ゾルフ・J・キンブリーを推したい。
序盤から登場しているが、本格的に動くのは
中盤辺りに入ってからなので
キンブリーがどういう人物を手っ取り早く知るなら、
第30話のイシュバール殲滅戦の動画、あるいは
それについて書かれているサイト等を参照して欲しい。
彼は、爆弾を愛してやまない爆弾狂であり、自ら異常者
であることを認めるいわばサイコパスなのだが、
殺しにおいて独自の美学を持っている。
信念を貫き通す人が好きなようで、思想に違いはあれど
敵味方問わず敬意を払うという徹底ぶり。
他の主要人物にも影響を与えたので、ある意味この作品における
キーパーソンの一人といえるだろう。
ぶっちゃけ、色々と危険な香りしかしないので、
関わりたくはないが、彼の理念や思想にはなるほど
と思えることもあり、魅力的なキャラクターに見えた。
本当にいい作品ではあるが、気になる所もあった。
前述したように、ギャグシーンをちょくちょくはさんだことにより
気の流れが乱れてしまうことが多々あった。
そのギャグで笑えるのならいいのだが、失笑するレベル
というのも相まって真顔になることが増えていった。
どうやら私は、ギャグにおいては作者と相いれないようだ。
キャラクターが余りにも多いのが災いし、掘り下げが
不十分な所もあった。
特に気になったのはホムンクルス陣営。
グリードやラース、プライド辺りはまだ理解できるものの
ラストやグラトニーにはあまりスポットが当たっていない。
スロウスに至っては高速移動が可能な、色々と
めんどくさがりのデカ物という印象しかない。
そういえば最後の最後までやたらめんどくせえと呟いていたが、
ブリッグスや中央司令部で描かれていたスロウス戦に
おける作者の想いを彼が代弁したという事
なのだろうか、それなら納得だ。
極めつけは、諸悪の根源ともいえるお父様。
初登場シーンは好印象だったのだが、終盤あたりから
魅力が激減し、最後は小物臭ただよう半場者で終わってしまった。
これでは、ホムンクルス達の顔が浮かばれない。
そりゃグリードが裏切るわけだ。当然の結果だと言える。
まあ、なんだかんだいって、ここまで楽しめたのは自分が
漫画をまだ読んでいないというのが大きいのだろう。
他の方のレビューを読む限り、原作を推奨する意見が
多いので、漫画を読めば十分な気がする。
個人的には名作の域に達しても不思議ではないと感じる程
とても面白かった。
間違いなく名作だと思う。