ローズ さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ツァラトゥストラかく語りき
リストラを勧告するような立場のエリートサラリーマン。
自己中心的で他者の事を考えなかったので逆恨みをされて
駅のホームへ突き飛ばされて列車に轢かれて死んでしまう。
存在Xの事を知るが、異世界へと転生する事となった。
転生した異世界。
不安定な情勢です。
世界史や近現代史には疎いので断言できませんが、
仮想ドイツですよね。
何故、戦うのか。
それは貧しいからです。
貧しい生活。
お腹いっぱいに食事をできる事が幸せです。
ターニャは魔力適正があったため、軍に志願。
士官学校を経て9歳で将校となります。
国力がまともな世界だったら話は違いますが、
戦争が起きる不安定な世界。
魔力適正があったのは良い事ですが、
9歳の子供が前線に出なければならない状況は、人材不足と言えるでしょう。
現在の日本で考えてみると、まだまだ幼い小学生。
太平洋戦争でも疎開する年頃でしょうね。
軍人になるのが早過ぎます。
人殺しが称賛される戦争。
平和な世界の常識は通用しません。
私は軍人が軍人を殺すのは当然だと考えています。
ただし民間人は別。
民間人を殺害するのは虐殺です。
死を覚悟して戦地に赴いたわけではありません。
本作品は軍の軍とのぶつかりが中心。
戦争の正しい描き方です。
「神は死んだ」
ニーチェの名言です。
産業革命で人類は神を超えた科学技術を得ました。
ターニャのいる世界はどうでしょう。
存在Xが君臨しています。
ターニャに信仰心を迫る存在X。
宗教は戦争を肯定化できる便利な教え。
為政者は神という存在を持ち出して国のために働けと命じます。
魔力の存在する世界。
存在Xが神でも不思議では無い筈です。
何のために戦うのか。
政治家やマスコミは国のために戦え、と言うでしょう。
それは半分正解、半分間違い、といったところです。
勿論、国の為という大義名分はあります。
しかし、本質は国に残った愛する人々を守るため。
愛する人を守るためだけで銃を取ります。
『国破れて山河あり』
国家なんて、ただの枠組み。
占領地域が変わるだけです。
人は死んだら生き返りませんが、土地や建物は再生できます。
長寿の研究や反魂の術などは試してきました。
しかし、生物には寿命があります。
勿論、戦死も同じ。
どういう状況で死んだかが変わるだけ。
両親から貰った命。
簡単に捨ててはいけません!
ターニャはどうでしょう。
貧困から抜け出すために軍人に。
指揮官となり自軍を率いる立場になります。
ターニャには家族はいません。
安全地帯で出世する事が目的です。
ただし、今は戦時下。
さらに責任のある地位。
つまり愛する部下が存在。
守るべき理由ができました。
ターニャは
神に愛されるか否か?
存在Xに愛されるか否か?
戦争に愛されるか否か?
平和に愛されるか否か?
戦争が終わって長い休暇になるのか、短い休暇になるのかは、上層部の判断次第。
勝てば官軍、負ければ賊軍。
勝者の歴史が正しい事になります。
まさに神のみぞ知る物語でした。