kazz さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
父子の関係と子の生きる道
原作未読。
あらすじ
21世紀末に人類が銃弾を撥ね返すほどの外皮硬度を持つ巨大な虫に変異する奇病を発症し始めて30年、虫を殺して賞金を稼ぐ駆除屋として生きるキドウは虫の大群に襲われる少女イリを救出。その際に命を落とした少女の父親グリフィスから遺言を授かって…。
虫のキモさはそんなにないです。ヒトから変異するためか、顔は頭蓋骨感を残したトンボぐらいの印象。モゾモゾ、ぞわぞわする感じは無かったと思います。
視聴開始当初は進撃とかカバネリとかの派生作品かとやや眼鏡が曇りかけたのですが、パトレイバーの太田功のような愚直で馬鹿な軍人のカシムにスポットが当たってから流れが変わりました。
父と子、その関係性は人それぞれ。尊敬、軽蔑、好き、嫌い。そんな多様な父子の関係をカシム以後は各キャラへ象徴的に割り当てていきます。
{netabare}義理の父を神格化するキドウ、父の意志を受け継ぐフランツ、そして孤児たちの父であろうとしたカシム{/netabare}などなど。この父と子の関係が各キャラクターの行動原理と結びついて物語を進めています。
さて、父と{netabare}思っていた人物は死に、本当の父親に父としての役割を放棄さ{/netabare}れたイリはどう生きるのか?彼女が生きる道を模索する上での葛藤がそのまま視聴者に響くのではないかと思います。そして彼女の選択を彼女自身が良いものであったと思って人生を全うする事を願うばかりです。
以下どうでもいい事
・本作における母親の不在。その存在はイリにしか見受けられない。みんなの母親をゲイのマリオが引き受けている印象。その点が表題を父子とした理由なんですけど。
・主人公周り以外のモブが荒み過ぎ。いくらなんでもそこまでかい。
・本作の舞台設定は22世紀。虫化は通信インフラもダメになるほどの脅威だったのだろうか?各都市の文明レベルの差と後退具合が酷い。
・声優さんの演技とかあんまり気にしないから分かんないけど、本作はかなり挑戦的な事してるような。花澤さんスゴいです。