遊微々 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
前を向け。顔を上げろ。世界は、こんなにも色付いているのだから。
美しい物語に感動、改めて本当に素晴らしい作品でした。
音楽というテーマを通して描かれる中学生たちのほろ苦い青春群像劇。
大事な人の為に捧げる真っ直ぐな想いは言葉を超えて人々の心を震わせる、よくあるテーマのようですがそれを圧倒的な描写と説得力で伝えてくれる作品でした。
作画は非常に美麗でした。TVアニメーションと思えないくらいクオリティが高く、四季折々の背景はまさにこの作品を彩るうえで素晴らしい演出をしていたと思います。
今作で特に印象深かったのが光の使い方と音楽。
春の木漏れ日、夕暮れの下校道、蛍の光、夜空の星と月光、コンサートホールの照明等、とにかく風景をより鮮明でカラフルに、時に暗くモノトーンに描写する光の演出は見事で、見ていて感嘆する場面ばかりでした。
また音楽の音色も非常に力が入っていました。当方基本的に楽器には疎く、クラシックなんかはほとんど聞かないので基礎知識は皆無に等しいのですが、それでも違いが僅かながらも感じ取れるくらいにはキャラの心情を巧みに汲み取った演奏がなされていたと思います。
関係スタッフの方々、本当に素晴らしい仕事をなさっていたと思います。
{netabare}個人的に1番感動したのは13話でした。やはりこういった家族の愛を描いたテーマにはすこぶる弱いです。
母親の有馬早希の公生に対する態度は絵本である『小学生のボクは、鬼のようなお母さんにナスビを売らされました。』の内容に通ずるものがあるように感じました。
子供のことを大事に思うが故、自分の死期を悟っているが故の厳しい指導。自分が残してあげられる物を残す、子を想う母の優しさと苦悩、その真実を知った時は涙せずにはいられませんでした。
{/netabare}