「とらドラ!(TVアニメ動画)」

総合得点
90.9
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★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

恋愛ドラマの金字塔。名作にして怪作。

恋愛ドラマの金字塔。名作にして怪作。
25話で表現される、あまりに稚拙で未熟な恋愛劇。
感情と感情をぶつけ合うコミュニケーションは
時にはバトルシーンと呼べるまでに発展するほど。

この作品は大河を愛せるか、この一点で決まるため
幼稚ってレベルじゃねーぞ、となれば即切りも可。
ナイフみたいに尖っては触る物皆傷つける人です。
しかも成長しません。最後まで大河は大河。

ラノベ原作特有の省略や後出しが多く、
初見では意味不明。
え?いつからなの?みたいなのばかり。
そしてわたしは3週しました。
私にそうさせる魅力がこの作品にはあるからです。

アウトサイダーである竜児と大河、
スクールカーストトップの北村と櫛枝。 
真逆の世界の交流は、時に理性的で時に情動的。
其々の思惑が解るからこそ踏み込めない川嶋は、
自分の思いをよそに調整役に徹しようとするが…。


物語は、このナレーションから始まる。

この世界の誰一人、見たことがないものがある。
それは優しくて、とても甘い。
多分見ることができたなら、
誰もがそれを欲しがるはずだ。
だからこそ、誰もそれを見たことがない。
そう簡単には手に入れられないように、
世界はそれを隠したのだ。
だけどいつかは誰かが見つける。
手に入れるべきたった一人が
ちゃんとそれを見つけられる。

そういうふうにできている。

ちょっと待って欲しい。
学生なら致し方ないが青春時代は過ぎ去りし日々、
という方々ならふわりと違和感を覚えるはずだ。

え?なにこのポエム…中2なの?…隠した…ってw
ちゃんとwそういうふうにwなわけねーだろw

そう、この違和感の正体は、
物語は竜児や大河レベルの視座の低さで
展開しているということにある。
この物語はどこまでも「おままごと」であり、
「恋愛ごっこ」でしかない、ということだ。

ここがこの作品がuniqueかつ愛される理由。
視聴者の属性により解釈に大きな幅が生まれ、
ブッ飛んだ展開から大河ムカつくすら許容される。
ものすごいギミックである。発明と言ってもいい。
語りたくなること、間違いなし。

不器用という表現すらおこがましい大河の幼稚さに
尊さや愛おしさを感じられることが出来たのなら、
この作品はかけがえのない体験で答えてくれる。
年月が経ってもなお支持される理由はそこにある。
見返す度に、また新たな魅力に触れられるのだ。

そしてその度に、夢や幻、理想と知りつつも、
願いや祈りにも似たあの稚拙なポエムに、
強烈に心惹かれてしまう私がいる。
淡い期待を捨てられないでいる私が。
もう一度、信じてみたくなった私が。
でも多分大丈夫。

「そういうふうにできている」のだから。

投稿 : 2020/05/06
閲覧 : 593

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