STONE さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 2.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
垣間見えるリアル事情
原作は未読、ゲームも未プレイ。
メディアミックス、それもキャストが実際にバンド演奏をするのが売りになっているだけに、
本シリーズは良くも悪くも作品外のリアル事情が作品に強い影響を与えているように思える。
このシリーズ自体は「Poppin'Party」(以後、ポピパと表記)ありきで
始まったものなのだろうが、「Roselia」、「RAISE A SUILEN」(以後RASと表記)の人気が
上がってきて、それが無視できなくなってきたような印象。
描写度合いで言えばRASが主役のようであり、かと言って今更ポピパを下げるわけには
いかずみたいな裏事情が垣間見えてしまうような内容。
ただ中盤などは脈絡もなく、交互にポピパ回とRAS回があったのが結果、本当に楽しんで
やっているポピパと、ただ良いメンバーを集めただけの段階だったRASという良い対比演出に
なっていたような。
ストーリーの主軸となったのが「BanG Dream! Girls Band Challenge!」だが、その結果で
ポピパ、「Roselia」、RASに明確な優劣を付けなかったのも、リアル事情を考慮したものに
思える。
個人的にはこういったコンテストものはやはりちゃんと結果を見せるべきだと思うし、
そういったシリアス性を望まないのなら、「けいおん!」のような日常系バンドものに
シフトチェンジした方がいいように思える。
メタ的事情と言えば、ストーリー展開に関しては、キャストがライブをできる前述3バンド
中心の構成になっており、2期ではそれなりにお当番回もあった
「ハロー、ハッピーワールド!」、「Pastel*Palettes」、「Afterglow」も、本作では
ゲストプラスアルファぐらいの印象。
映像でキャストのライブを観たことがあるが、演奏力などの点で「Roselia」、RASに人気が
あるのは納得。
ただ、当初は「声優がバンド演奏をする」といったコンセプトだったのが、
「ミュージシャンがアフレコをする」にシフト変更しつつあるような感も。
主要3バンドのキャスティングに関しては、おそらく楽器演奏ができる(もしくは身に付ける
余地がある)、ライブ活動をする時間がある、などが条件にあったはずで、そうなるとやはり
若手やビギナー中心になってしまうのは仕方ないのだろう。その中で頑張っているとは思うが、
他の同時期放映の作品に較べても演技スキルはやはり落ちると言わざるを得ない。
作品自体の空気感は一見楽しそうな雰囲気のものだが、ストーリーはRASの不和などを
中心に描いたために、意外と暗くてシリアスな色合いが強い。
そんな中でポピパのPV回や、多くのバンドが登場した温泉回が比較的楽しめだった印象。
PVと言えば、やはり音楽ものの「キャロル&チューズデイ」(以後、キャロチューと表記)でも
PV回があり、どちらも色々な要素を盛り込んだようなPVが出来上がっていたが、本作では
よく出来たPVという扱いだったのに対して、キャロチューではダメなPVという
位置付けだったのが印象深い。
こういったPVは作品世界の外からアニメ作品のコラージュのようなものとして観る分には
楽しいものだが、作品世界内でアーティストの存在を知らない者に向けたPVとしては内輪受け、
楽屋オチ的な感が強く、よく出来たPVとは言い難い。
おそらく前者のスタンスに立ったのが本作で、後者の解釈だったのが
キャロチューだったのかなという気がする。
作中にたびたび出てくる「大ガールズバンド時代」というフレーズ。
凄いワードセンスだと思ってしまうが、同じブシロードのコンテンツである
「探偵オペラ ミルキィホームズ」でも、「大探偵時代」なるフレーズがあったことを
思い出した。
「大航海時代」辺りが語源なんだろうけど、木谷 高明氏のセンスなのかな。
2020/04/26
2022/01/17 加筆・修正