たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
堅実な作り
士郎正宗原作の攻殻機動隊を「アップルシード」の3DCGアニメで名を馳せた荒牧伸志さんと、TVシリーズでお馴染みの神山健治さんとで共同監督で作られた攻殻の「SAC(スタンドアローンコンプレックス)」シリーズの新作です。
ですので、舞台が「2045年」ということで、一応この世界観の30年後に「アップルシード」に繋がるわけですが、どうやら。。その序章という感じがします。
世界はもはや「第3次世界大戦前夜」の核戦争が起こるか起こらないかという状況であり、世界的な「金融危機」や人種間や世帯の「格差」が広がっており、かなり逼迫した世界状況が前半で語られます。南米や中東ではもはや政権を保てないほど悪化しており、日本もさる事ながら、今回はネットフリックス制作ということで序盤はほとんど「アメリカ」国内の世情を反映させた作りとなっており、攻殻シリーズがより「グローバル(国際的)」な認知になったんだな。。と改めて感じさせられました。
「新型コロナウイルス」によって、現在の内向きな全世界の状況を踏まえているということで(偶然かも知れないですが)、最近ヒット作に恵まれなかった神山監督としては、非常に世相を反映させているということが素晴らしかったです。
「格差問題」「難民問題」「ネット炎上問題」「国際政治」など、最近のアメリカンコミックス並に「政治」問題に言及するのは挑戦的で、3DCGの「質」は若干気になるもののそれを吹き飛ばすような「脚本力」が強い作品だと思いました。
ただ、やはり士郎正宗さんの原作版を考えると非常に「判りやすい入門書」という感じが拭えななく、今回の敵。。。というか「犯人の動機」も非常に誰もが共感できるくらいに収まってしまっているので、「人形遣い」や「笑い男」「個別の11人」にくらべるとやや弱い感じがします。
全12話ですが完結しておらず、今回も24話構成だと思うので、第二シーズンも楽しみにできる良作だと思いました。流石、プロダクションIGが満を持して放つ硬派なポリティカルフィクションだと思います。
。。。。。ただアップルシードに比べても3DCGが若干雑な気がするんですが。。ネットフリックス制作なのでまあ、普通のTVアニメの予算の10倍くらいだろうと思いますので、全体の「粗」みたいなものは見受けなかったです。