プラ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
王道でも感動できる良作
大正時代に女の子が野球をする話。
「女は家にいて男のサポートをする」のが当たり前。婦女子が野球なんてあり得ない時代の話である。
主人公は女学校に通っている少女・小梅。活発で元気の良い女の子である。その快活さを買われてか、あるひ突然野球に誘われることになる。
誘ったのは、小梅の親友である晶子。婚約者のいるご令嬢であるが、婚約者に"男尊女卑"の扱いをされたことに非常に腹を立て、婚約者の岩崎がやっていた野球で勝負をしようと企てる。
女学校に勤務していた英国人教師の助けも借りて、なんとか 9 人集めるも、野球初心者の女子チームが、ハードな訓練をしてきた男子チームに勝てるはずもなく、一矢すら報いることもできないまま、一回目の"非公式試合"は惨敗で終わる。
しかし、ナメられたまま気に喰わない女子一同。この時代に女学校に通えるだけの家柄がある人たちが集まっているからだろうか、やはり男尊女卑には敏感なのであろう。正式に「櫻花會」を設立し、今度は公式試合として、リベンジを図る。
「女性であるという壁」を乗り越え、試合にたどり着いた櫻花會。頭を使った策略で序盤は(多少ナメていた)男子たちにリードを奪う展開。しかし、中盤は秘策を攻略し、男子チームがしだいにリードを広げていく。諦めるわけにいかない櫻花會一同、投手の癖を読まれていることに気付き、それを逆手にとって次第にペースを取り戻していく。
あふれる闘志で男子と互角以上の展開に持ち込み、迎えた最終回。二点差の二死二三塁。投手・岩崎 vs 打者・晶子のクライマックスの場面。なんともアツい展開である。セオリーなら敬遠だが、岩崎はもちろん勝負を選択。晶子はセーフティバントで意表を突く(というより、さすがに男女の差がありすぎてまともに勝負ができなかった)。三塁走者は生還し、一塁は見事セーフ。そして、二塁走者だった小梅がホームに飛び込む。キャッチャーのタッチをうまく交わすも、ホームベースにわずかに届かず・・・ゲームセット。
展開としては、王道のシナリオだったが、なぜだか目頭が熱くなった。近年にはないアニメである。このころは良いアニメがたくさんあった良い時代だったなあ・・としみじみ思った。