「B: The Beginning[ビーザビギニング](Webアニメ)」

総合得点
73.6
感想・評価
242
棚に入れた
1245
ランキング
999
★★★★☆ 3.8 (242)
物語
3.7
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

Pocali さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

消せないコードをお前に刻む

※数回に分けて編集しています。

素晴らしいストーリー構成。ハマり過ぎて、10周以上しました。
仕事中のBGMにもしています。この物語の虜になっています。
私がアホなので、何度か見ることで少しずつ疑問点を解決していっているということもあるのですが、戦闘シーンが劇しく恰好よい。
OPやEDが流れる手前のシーンの区切り方にも拘りが見えるし、BGMも統一感があって良いです。
声優さんのお仕事ももちろん素晴らしいものですが、「なんと言っている?」となるような台詞の聞き辛さが一切無い。知的な言葉を話しているのに、きちんと聴き取れる。
これは音響関係?エンジニアさん?の技術もあるのではないかと、勝手に思っています。

黒羽側のストーリーは、イザナミが超主要人物になっていますが、イザナミが好き過ぎて3話を部分的に何度も繰り返し観ました。
戦闘シーンは、イザナミが舞妓に変装して現れるところから大好きです。
スケートボードを乗り回すイザナミが呟いているのは、中原中也訳、ランボーの詩集の中の黄金期というものらしい。
『声の或るもの/天子の如き!/厳密に聴きとれるは/私に属す/酔と狂気とを/決して誘わない/かの分岐する/千の問題/悦ばしくたやすい/この旋回を知れよ…』
ギルバートが言う『それは輪廻のように繰り返し、永遠に続いていく、消せないコードをお前に刻む』に近い意味だと勝手に解釈しています。
キースが解読した碑文の『二人の巫女の書』の、巫女のうちの一人がイザナミのことだとわかったときは鳥肌経ちました。BLかよと言えばそれまでですが…
『首を落とされた巫女は灰となりて王と同化し新たな力を与えん』その続きは『選ばれた巫女は妻となってクレモナの頂で最期まで運命を共にした』(10話の黒羽の回想より)、この碑文のことをイザナミは知っていたし、黒羽が記憶をなくしていることも知っていて。
イザナミが風間博士へ『黒羽は僕が守る』と伝えた時にどこまで知っていたのかは判らないですが…
きっと皆月へ協力していたのは黒羽に会って自分の役割を確かめる為の手段に過ぎなかったのではないかと。
『僕らの中で僕だけがほんの少し一緒にいた、君のために生きた時間があった、一緒に見たんだよこの光、だから君をここに招いた、思い出してもらうために』
黒羽がいう『戯言』を話している時のイザナミが兎に角素敵です。
黒羽の記憶がほんの少しだけ蘇って、一緒に見た光、繋いだ手が浮かぶ… イザナミは自分を妻として選んで欲しい、思い出して欲しい、でも黒羽が選んだのはもう一人の巫女(ユナ)。『淡い期待は打ち砕かれた…!』
カムイとの電話で『王は舞い下りた、父の墓前にて拝謁する…(携帯ポイ捨て)』と伝えたときは、まだ淡い期待を抱いていたのではないでしょうか。
切ない。イザナミたまらんです。イザナミフォーエバー。

黒羽がマーケットメイカーから呼ばれていた『ローエングリン』はアーサー王伝説に出てくる聖杯王パーシヴァルの長男で、父親の後継ぎをする騎士のこと。妻のエルザに、名前や素性を決して尋ねないという誓いを破られ、ローエングリンはエルザの元を去ってしまうのですが、この伝説がB:にそのままそっくり反映されている訳ではないようです。
2期はどういうお話になるのか、黒羽がユナの元を去ってしまうのかどうか…気になるを通り越して不安です。

6〜7話、黒羽に気が付いたユナの記憶が蘇ったところでの、偽皆月のトドメ!!!一番好きなシーンです(;ω;)
色彩バランス整い過ぎ。Netflixの7話のタイトル画像が、まさに好きなシーンです。
でも偽皆月がかっこいいのは残念ながらここまで。どんどん愚かな姿へ変貌していきます。はぁ、こんなに美しいのに勿体無い…
しかし、わざわざ皆月の身代わりにさせた意味がよく分からない。かっこいいからいいけど。

5話、キースとギルバートとの会話、『お前、白鯨って読んだことある?』『ん?メルヴィルのか?お前が貸してくれたんじゃないか。読んだよ。』『エイハブはさ、モビー・ディックと沈みながら、最期に何を思ったんだろうな。』
『白鯨』という小説は、世界十大小説で有名なものだそうです…小説は全く読まないもので、知りませんでした。ONE PIECEに出てくる船の名前や、スターバックスの名前の由来にもなっているとか。
10話、黒羽がカノープスへ向かって翔び立つ前の回想シーンでキースから説明があった、星に隠れた白い船、その船の名前が『白鯨』でした。
小説白鯨でのエイハブは、B:の中で誰に例えられているのでしょうか。キースが言っていたエイハブは、誰のことだったんでしょう。キース?でもキースの戦闘舞台は白鯨ではない。

黒羽が飛ぶシーンは、恐らく海外でも通用するように、偽皆月が「イカロス」と表現しているんじゃないかと、友人が話していて納得しましたが、イカロスの翼は「太陽の熱で溶けてしまう」から、氷ではない…
最終話、本物の皆月と黒羽の闘いのシーンで、友人が「黒羽の腕がとんで碑文に刺さったことによって運命が変わったんじゃないか」と解釈していて、もしそうだったら次のシーズンにも繋がりそうだし、面白いです。皆月の右目は消えずに残っているのでしょうか…

ギルバートが撃たれた後は、死んでから語っている天の声的な感じなのか?ギルバートさんよ、伝えたい事がたくさんあったのに、殺人なんかやらないでキースに当たって砕けちゃえば良かったのに。
ギルバートの多重人格という点が非常に解りづらかった。良い意味で。ずっと統合失調症だと勘違いをしていた。車から転げ落ちていきなり人が変わるシーンで、やっと理解した。

左手が武器になる部分や、お寺での戦闘シーンのユナの仮面姿や、屋根で倒れるシーンなどは、もののけ姫を連想させました。
他にレビューを書かれている方たちも、既視感があるとおっしゃっているようです。そのデジャヴの要素はそれぞれのようなので、よくある話ということになると思いますが、「パクリ」という感じはしなかったので、嫌な気分にはなりませんでした。
寧ろ、いい要素がセンス良く絡んで奇跡を目の当たりにしている、そんな気分でした。映画だって音楽だって、何にしても何かには似るものだと思います。

監督のインタビューを読んだところ、おじさんキャラが多かったり、雑談シーンがリアルだったりするのは、狙っているようでした。以下、インタビューより…
「本当は「謎を解くだけ」だったんですが、「人の心」を入れることで、不条理がどんどんと出てきて……。「自分も不条理の中で生きている」と考えると、すべてに合点がいき、「納得のいく物語」には作っていて違和感を覚えるようになってしまいました。ただ、とにかく絵だけはきれいにしようと。絵と音がきれいな作品にして、作品に触れている時間は中身がよくわからなくてもドキドキできたらいいなと、そう思って作っていたと思います。」
この、インタビューでの監督の答えが、B: The Begenningの80%位を物語っているような気がします。
台詞に拘りが溢れていて、シーンや台詞の殆どに意味があって、少しコメディタッチに描かれているシーンも重要だったり、マジで目が離せないので神経かなり使いますが、こんなに何度も観たくなるくらいグッとくるアニメは久しぶりです。
自粛期間にこの作品に出会えたことに感謝。
本当に素晴らしいアニメです。

Netflixオリジナルのクオリティー凄い…と思うと同時に、だからこそNetflixでしか観られないことが勿体無いとも思うのでした。
もうNetflixで観続けるのが申し訳ないので、BD BOX買います!

投稿 : 2020/11/25
閲覧 : 983
サンキュー:

8

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