yuugetu さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
王道を「反転」させれば、それもまた王道(第21話までの感想)
2020年春季配信のWEBアニメ。BS11やTOKYO MXでも放送されています。
2019年秋季のガンダムビルドダイバーズRe:RISEの第2シーズンとなります。
星評価は暫定。
【15話視聴時点での感想】
{netabare}14話は簡単な1期振り返りを挟みつつ、エルドラ側の前日譚とフレディの再起。15話ではエルドラの現状の確認と、それを打破するための再出発。フレディをチームの一員として描いてリスタートする、理に適った構成です。
物語とキャラクター描写は1期から変わらず安定してますね。
冒頭エルドラへの転送シーンでカザミに1話と同じセリフを言わせるのが上手いです。1期の最初からエルドラは切迫した状況で、カザミがあの時勢いで踏み込まなかったらフレディの村は滅ぼされていた可能性が高い。いくつもの幸運とみんなの勇気があって今があると感じさせます。
作画もキャラクターをとても大切にしていました。
特にカザミとマイヤのやりとりは繊細な表情付けが素晴らしい。命の重さを物語るシーンでの会話と仕草の細やかさは一貫しています。
個人的に、ジェド退場の穴を埋めるキャラクターとしてムランには期待していたので、15話で既に役割を果たしてくれているのが嬉しい所。ヒロトとのやりとりでマサキとのドラマにも布石を打っています。
ヒトツメの中身を知りたがるヒロトの心理は、エルドラがリアルであると認識してしまった以上は当然で、早々にそれを解決しているのも良いですね。14話で存在を知らせた「小さなヒトツメ(ガードアイ)」を15話で出し惜しみせず見せてくれるのもモヤモヤしません。
視聴者にストレスを感じさせない、誠実な作品作りが出来ているのではないでしょうか。
バトルも素晴らしかった!14話のゼルトザームとユーラヴェンも好きですし、15話でコアフライヤーもしっかり活躍させてるのが良い。話数から考えて戦闘機形態での活躍はそれほど出せないでしょうから。
今作は組み換え遊びを推奨しているので、ヒロトとメイが仲間の装備を使って戦うのも多少販促の意図があるのかも?戦闘力不足を補ってのチームプレイも1期を見た後だと感慨深いですね。
モビルドールメイの近接格闘戦を誤魔化しにくいロングで描いたり、コアフライヤーで玄人めいた空中戦を見せたり、1期とは違う方向性で演出されていたのも面白い所。2期最初の戦闘はゲームではないという演出意図を感じました。{/netabare}
(2020.4.18)
【第18話視聴時点の感想】
今の所、伏線回収かかなり進んできた一方で新しい伏線を撒いたり、キャラクターの情報を小出しにしつつ心理変化に説得力を持たせたり、安定して楽しめる内容。
{netabare}
宇宙規模のSFであると同時に土着の民の生活や人物の描写が丁寧で、マクロとミクロの視点を上手く繋いでいるのも素晴らしいですね。
命を背負って戦うという点においても、ビルドダイバーズの面々にはそれぞれ人を見捨てられない心理があります。
ヒロトにはイヴのことがあり、メイはデータ生命体として自負を持って生きている。パルは命を落としかねない事故を経験しています。カザミは父が漁師として海に出ているなら、自然の厳しさに翻弄されながら生きるエルドラの農民達に共感する部分もあるだろうと思いました。
メカバトルも毎回とても楽しんでいます。
誰が何をしたのか、戦況はどうなっているのかが非常にわかりやすいのが特長ですね。スピード感や奇抜な演出よりも、状況の変化を理解させることを重視していて好印象。盾の使い方に凝っているため、「守りの戦い」であることを常に視覚的に訴えかけてきます。
18話で描かれた狙撃戦がヒロトの心の傷を抉り出す展開に繋がるのも上手いなあと。アルスが突き付けてくる姿と言葉もそうですが、現実の戦争における狙撃手のイメージ(所在を知られなければ銃弾を使い切るまで敵兵を殺せるが、狙撃手自身も強い罪悪感を抱く場合がある)も反映しているようで、なんだか無性に悲しくなりました。
{/netabare}
さて第19話以降は放送の目途が立たない状況ですが、スタッフの安全を考えると当然だと思いますし、私はかえって安心しました。放送再開を心待ちにしています。(2020.5.9)
【第21話時点の感想】
7月9日より配信再開となりました。
休止期間はお馴染みのリライズセレクト。元機体の活躍回をツイッター上で人気投票を行い、票数の多かった話数を配信していました。
{netabare}
19話以降も実に安定した内容で、反面意外な要素や演出も多数見られ、毎週とても楽しいです。
ヒロトの過去は予想できたものより若干上を行くような展開で、「期待を裏切らず予想を超える」上手いバランスでした。前作は明確に王道を狙い、今作はそれを徹底して反転させながら、それもまた王道の物語に落とし込んでいます。
特にイヴは扱いが難しかったと思う。イヴのような立ち位置のキャラクターは描写に失敗すると悪い印象を残す場合もあるし、ヒナタやメイの役割を喰ってしまう場合もある。この3人のヒロインがしっかり役割を果たし、誰もがヒロトの人格形成と再起に深く関わっている。ファンの反応も調べていますが、醜いヒロイン論争が起きてないのが意外(笑)であるとともに、脚本家がどれほど苦心して作り上げ、成功させたかった部分かがわかります。
21話はラストバトルに突入する前哨戦。この回のキャラクター描写とガンプラ描写は物語の大きな軸です。
前作は自分と仲間の願いのために強い意志を貫き通す物語でしたが、今作は誰かのために頑張ることが自分達を再浮上させていく物語。まだ生まれて間もないであろうメイによって過去の失敗にも意味があると客観的に示され、ヒナタはリアルでミズキを支えることでヒロト達の戦いを肯定します。
キャラクター作画の素晴らしさも光る回でしたね。しんぼたくろうさんの作画は素朴で可愛らしくて大好きです。
日常描写で仕草と表情を丁寧に付けていくことで皆今を生きる命であることを再確認させ、その和やかさが今後の雲行きの怪しさも際立たせます。
ビルドダイバーズカラーのハロはガンプラとして発売される商品なので、玩具販促の意味もあるし何より可愛い(笑)。カザミの新機体やパルの聖獣の翼修復も、彼らの想いの表現として的確に入れ込んでいます。ヒロトが少し明るく表情豊かになっていますし、ヒナタの不安と決意も丁寧に描いてくれました。
キャラクターに愛着を持たせることで玩具販促に繋げているとも感じますね。サターンアーマーはGBNでの用途があって作られたものですが、それがエルドラでは別の使い道になる。この辺りもヒロトがこれまで培ってきたものが前向きに繋がっていくということだし、元ネタ知ってる人はニヤリとできるいい塩梅です。
個人的に前作で感じた「ガンプラをビルドすることは新しい自分を作り上げること」は、今作でも連綿と受け継がれる柱となっています。これは例えば他に整備班がいる他のロボットアニメではなかなか表現しにくいのではないでしょうか。
現時点ではガンプラアニメとホビーアニメのテイストをとても良い形で反映できていると思います。
{/netabare}
(2020.7.25)
【ネット上で拾った色々メモ】
{netabare}
ビルダングスロマン(教養小説・自己形成小説)
「主人公(少年)がガンダム(兵器)と出会って成長していく」のがガンダムのお話{/netabare}