「ドロヘドロ(TVアニメ動画)」

総合得点
78.2
感想・評価
362
棚に入れた
1591
ランキング
570
★★★★☆ 3.8 (362)
物語
3.7
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

ちゃんもり さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

MAPPA炸裂!

他作品のレビューにも記載しているが、私は普段
某アニメストアでアニメを鑑賞しているため、本作の
リアルタイム視聴は叶わなかった。

よくよく調べてみると、本作「ドロヘドロ」はNetflix独占配信とのこと。
近年はこのように配信企業が放映権を買い取り、独占配信するかたちが
増えてきている。
収益の大部分が不安定な円盤の売上に占められ、その限定的な収益という
パイを製作委員会で分け合った結果、肝心の製作会社がちっとも潤わない
これまでの歪んだビジネスモデルと比較すれば、これは喜ばしいことだ。
魅力的なコンテンツを製作することで配信側と製作側双方が
Win-Winになれるこの手法は大変理に叶っている。
まぁ視聴する側としてはどの配信サイトを選択するか、なかなか難しい
ところではあるのだが。

さて、本作ドロヘドロは2000年~約18年間、ビッグコミックス系列の
雑誌で連載され、2018年に完結を迎えている。
アニメ制作はMAPPA。2011年に設立された比較的新しい製作会社と言えよう。
私が初めてこのMAPPAに注目したのは「てーきゅう」シリーズである。
放送時間が3分しかないのに毎回マジメにOPを流してさらに尺を縮め、
縮んだ尺は異常なカット割と声優に3~4倍仕事をさせることで
無理やりねじ込むという狂気のアニメであった。
(※全部のセリフが前のセリフに食い気味に入るので気を抜くと
  マジで何を言っているのか分からない)
この時、私は思った。MAPPAはやべえ。

そして本作、「ドロヘドロ」。
人間たちは「ホール」と呼ばれるスラムのような街で、
体から煙を出して各々個性的な能力を行使する「魔法使い」とは
別れて暮らしている。魔法使いたちは普通の人間を差別的に見ており
時には自分の魔法の実験台として使用したりする。
ある日魔法使いに首から上をトカゲの姿に変えられ記憶もなくして
倒れていた男「カイマン」と、彼を助けた「ニカイドウ」が、
カイマンのなくした記憶と彼をトカゲ男に変えた魔法使いを探す物語。

簡単に人が殺される狂った倫理観を特に気にするでもなく飄々と
暮らす登場人物たち。
魔法使いが被るマスク等、随所に見られる退廃的でグロテスクな
モチーフと、相反するようなシネマチックで何処かメルヘンな世界観。
まるで童謡の歌詞をデスボイスで歌われているような
不思議な空気感を味わえる作品である。

そんな独特な世界観を、MAPPAは見事に映像化している。
グロいシ-ンもコミカルなシーンも原作の良さを忠実に、
むしろ、映像化することでより原作の世界観をさらに広げている。
やはりMAPPAはやべえかったのである。

この作品には、分かりやすいイケメンや美少女はひとりも登場しない。
そういう意味では、今の若い世代にはあまりウケないかもしれない。
しかし、カイマンやニカイドウはじめ、敵であるはずの煙ファミリーまで
それぞれ個性的で人間臭く、また人間臭いがゆえに魅力的だ。
また声優選びが素晴らしい。
気にする人は少ないかもしれないが、アニメ視聴に於いて
「ストレスなく声を聴いていられる」ことは非常に重要である。
人はキャラクターを見ると無意識に声を想像しているので、
その想像を大幅に外れるとストレスを感じてしまう。
(※2時間映画の声優を芸能人が務めると違和感を感じてしまうのは
この為)
その点、本作は高木渉、堀内賢雄、細谷佳正、小林ゆう、と
演技派が揃っている。
このまま洋画の吹き替えを1本撮ってほしくなるようなメンツだ。

とにかく、魔の1~12で十二分に分かったこと。
MAPPA製作陣が見事に表現してくれたどこまでもオンリーワンな世界観。
未だ見ぬ2期で分かること。
それはまだ、混沌の中。

それが、ドロヘドロ。

投稿 : 2020/04/14
閲覧 : 211
サンキュー:

8

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