saitama さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 2.5
キャラ : 3.0
状態:今観てる
筒井康隆がやっと認めた原作に近い映像化…はアニメだった
1970年代に筒井康隆が書いた小説をベースにしたアニメ。
映画化等の話は何度も出たが、結局、筒井康隆が認めず映像化はなく、まさかの深キョン主演でドラマ化という原作無視で初映像化。
本来のハードボイルドな感じは、40年以上経ってアニメ化で固まったのは面白い。筒井康隆本人もモブ出演しているし。俳優、宇津井健の息子、宇津井隆がフジテレビの事業部長から、こっちに転属になって製作トップとなって作ったことから、この宇津井人脈が裏で生かされてアニメ化の許可が筒井康隆本人から取れたのだろう。それは想像に難しくない。
フジテレビとSME(アニプレックス、クローバーワークス)、予算は潤沢。失敗は許されない感じの企画。
で、実際のアニメは、筒井康隆も多分納得の、初代ルパン三世にも通じる、ハードボイルドさを、アニメだから実現できたぶっ飛んだ金持ちぶり。あとはトライガンのシリアスパートとか、鬼平とか、カウボーイビバップとか…。鬼平と初代ルパン三世がいちばん近いかな…。
作画は今風でキレイだなと思う。キレイというのは、背景やサイズや構図をちゃんとしているという意味。各キャラの絵自体は…お絵かきかな。演出は色々とコピーしてるなぁとは思うが、まあ、作画がキレイなので許されるレベル。いろんなアニメや映画演出のかっこいい部分を、過去のアーカイブから引っ張り回した感じ。音楽も洒落てるけど、いろいろコピー感が…。まあ、マッチしているから良しとしよう。ただ、すべてにおいてオリジナル感は薄い。
とはいえ、原作がしっかりしているので、なんだかんだと面白くなりそう。声優はマッチしている。逆に初回にモブキャラ登場した筒井康隆本人がいちばん下手っぴで笑う。それはご愛嬌。原作者本人がモブキャラ登場するくらいだから、制作側との関係は良好であることは間違いない。そこは宇津井人脈恐るべし。
正直、大ヒットはありえないし、今の時代にこの作品があっているのかはわからないが、原作がしっかりしていて、ハードかつ洒落たアニメというのが正直最近無いので、この先も盛り上がってくれればと期待している。いい作品に仕上がれば、アリかと。
逆に今の時代しか知らない、ミニマリストという名の貧乏が染み付いている世代には、この金持ち無茶振り感とか、そういうけれんみは通じないと断言できる。ある程度、年代が高い、もしくは精神年齢の高い世代には、原作の持つ良さが通じる。