STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ほのぼのだけに留まらない
原作は未読。
縁あって親子関係になったゴーレムと人間の娘であるソマリの旅を描いたロードムービーもの。
人工物であるゴーレムが、ソマリとの旅を通じて次第に感情が生じていく。
こういった展開はロボットやアンドロイドを扱ったSFものなどでよくあるものだが、
その多くが恋愛感情が生じるものが多く、人口物がパートナーを庇護することで一種の
擬似親子関係のようになっていく作品は割と少ないかも。
パッと思い出したのは洋画の「ターミネーター2(erminator 2: Judgment Day)」だったり
しますが。
そういったわけで、単なる親子のふれあい要素だけでなく、人口物の心の問題も内包している
ところが面白い。
当初はソマリとゴーレムのほのぼのとした親子関係を描く作品かと思っていたら、二人を
取り囲む世界は人間にとっては過酷なもので、人間と異形との歴史も残酷で悲劇的なもので
あることが次第に明らかになっていく。
「ハクメイとミコチ」だと思って見始めたら、「メイドインアビス」だったみたいな。
この異形と人間の関係性は、現実の人種・宗教・思想の違いによる対立などの風刺要素も
ありそうで、主人公であるソマリ側の立場に立ってみると異形が恐ろしい存在に見えるが、
異形キャラのエピソードを観ると人間が恐ろしい、といった感じで一概にどちらが悪いと
言い切れないところなど、まさに現実を映し出しているよう。
そういう意味では寓話的色合いも感じる作品。;
そして、そんな環境だからこそ、ソマリが人間と知りながら態度が変わらないシズノや
ヤバシラを始めとするキャラ達の優しさが染みる。
こうしたドラマとしての重みだけでなく、ソマリの可愛らしさや健気さも見どころの一つと
いったところで、水瀬 いのりがそれを見事に表現。
ソマリが着ているアウターのフードにツノを被せる部分があって、それが可愛かったりするが、
本来はソマリが人間であることを隠すための仕様が、結果としてソマリをより可愛く
見せるためのものになってしまっているような。
キャストに関しては全体的にそれなりにキャリアのある人による安定感のある
キャスティングといった印象。
ドラマ、映画、舞台などでキャリアのある俳優さんでも吹き替えとなるとどこか違和感を
感じる人が結構多かったりする中、元宝塚スターの七海 ひろきがシズノを演じており、
この頃は声優としてのキャリアはあまりなかった頃だが、これがなかなかいい。
同クールの他作品にも出演しており、今後も本格的に声優に取り組んでいくようで頑張って
ほしいところ。
そして、声優が本業ではないローザおばさん役の柴田 理恵の上手さにはびっくりした。
背景美術に関して、同放映クールの「映像研には手を出すな!」と「ドロヘドロ」が
凄かったので影が薄くなってしまったが、本作もなかなか良い仕事をしていると思う。
2020/04/09
2025/03/09 加筆・修正