Dave さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
溢れる愛
わけあって、リアルで「ドルオタ」なる人たちとやや交流がある私としては、「なるほど、こういう世界なのか」とちょっと彼(か)の世界を覗き見たような気分になりました。
これまで、アイドル側のあれこれを映像化した作品は結構あったと思うのですが、今回はそれを応援するオタク側の視点と、アイドル側の両視点を絡めていったところが秀逸でした。しかも、アイドルオタクの一般人には理解しがたい生態を面白おかしく見ているつもりが、だんだんとその純粋な熱量やオタクとしての矜持とかも理解できるようになってきて、これはこれで「ドルオタ道」とでも言うべき崇高な趣味なんじゃないかと思い始めたり。
主人公「えりぴよ」が女性で(少なくとも画面上は)綺麗系であることが、作品として比較的健全に成立させることができた勝因かもしれません。だって、もし主人公がちょっと気持ち悪くてKYかつ粘着質なオタクだったなら…わりと地獄絵図ですよw
個人的に響いたのは、たとえその数は少なくとも、純粋に応援してくれる存在のありがたさ。そうなんですよね、演者として上を目指すのは当然のことだし、そのうえで数が気になるのは事実。だけど、調子が悪い時も、迷っているときも、伸び悩んでいるときも、無償の愛で応援してくれる人たちのことをわすれがち。たとえ、舞台の下に一人しかいなくても、その人だけのためでも100%のパフォーマンスをしなくちゃいけない。
最初は知らない世界をのぞくような面白さだったのですが、おそらく彼の界隈では【あるある】な要素を絡めつつ、しかし次第に作品の世界にしっかりと引き込んでいったのはお見事でした。気がついたら岡山のローカルアイドルグループChamJamを応援したい気持ちになると同時に、それをストイック(?)に応援するオタクたちも応援したくなる、そんな作品です。
オタクにアイドルに対する愛があるように、この作品にはオタクに対する愛も溢れていました。