zn さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
リチャードの厳しいけど前向きな言葉に励まされる
Abemaのアニメランキングにあり、原作もアニメに関する情報も一切ないまま1話を視聴しました。
面白かったので、そのまま最後まで視聴。
観終わって、原作にも興味湧いてます。
ストーリーは、宝石商のリチャードとそこでアルバイトをする大学生の正義の2人を中心に進みます。
宝石を手にリチャードのもとへと鑑定に訪れるお客さまたちは、それぞれに宝石にまつわる物語や事情を持っています。それらを紐解き、解決に導くというミステリー作品。
基本1話完結で、毎回テーマとなる宝石が異なります。その度に宝石言葉や言い伝えなど宝石に関する知識を得ることができ、そういった点も楽しめます。宝石の作画も美しかったです。
また、お客様が来る度にロイヤルミルクティーと共に出される美味しそうなお菓子の数々も、毎週の視聴のちょっとした楽しみになってました。
そして、この物語の一貫したテーマとしては、「相手の立場に立ち、思いやる」ということの難しさと大切さを示しているように思いました。特に心に残っているのは、4話でリチャードが正義に言った言葉。
「たとえ褒め言葉であっても、評価する言葉は時に人を傷つける」
「綺麗ですね」などと、自分は誉めているつもりでも、相手によっては不快に感じる場合もあるということ。誰もが日常の中で経験したことがあるのでは?と思います。言う側としても、言われる側としても…
でも、誰もが理解しているようで、そこまで気を遣い言葉を選べる人は、果たしてどれほどいるだろうか、とも思います。
全体を通して、そういった、心遣いや言葉の選び方を大切にしたいと改めて気付かされるような、温かいストーリーでした。
ただ、途中BLと取れなくもないような描写があります(正義には好きな女性がいるけど、どうなんだろ?)。同性愛やBLに嫌悪感のある人にはお勧めしません。
また、2人の関係性が深まる描写なのか、正義がリチャードをお前と呼ぶのには、少し違和感がありました。
ストーリーの構成(展開)自体は、今までにも似たようなものがあったかなと思います。
でも、「宝石商」という特殊なお仕事を題材にしたことによるアクセントと、一貫した「相手の立場に立ち、思いやる」というメッセージを強く感じられるところが本作の1番の魅力だと思います。
そのメッセージが伝わるような、丁寧な心理描写も良かったです。
相手の思いやりのない言動に傷ついた時、あるいは優しさに触れた時の各キャラクターの表情はとても細かく描かれていました。視聴者はリチャードと正義、どちらにも共感を覚えることができると思います。
特に最終話での、正義が自分の本心を告白してくれた際のリチャードの表情は印象に残るもので、リチャードのいろいろな心情を想像してしまいました。
普段まわりに気を遣いすぎる人、一度精神的に辛い経験をしたことのある人は、リチャードの厳しいけど前向きな言葉に励まされ、共感できる点も多いんじゃないかなと思います。
円盤買おうかな…
人間関係で気分が落ち込んだ時とか、時々観返したくなるような作品だと思いました。