砂粒と嵐 さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ダークファンタジーという言葉そのもの
絵柄も設定もファンタジーだけど、色使いやデザインのおかげなのか深みのある世界観になっていて、とてもいい。リアルとかけ離れていて、だからこそシビア。
こんなに小さな子どもたちが、絶望的な運命を突きつけられている、というところが悲痛。
無力さに打ちひしがれながらも、彼らはめちゃくちゃ賢いし必死に生きようとする意欲に満ちている。
この頭脳戦は支配者である大人との駆け引きだけじゃなくて、仲間うちでの行動の読み合いがまた予想もつかない展開になっていて面白い。
計画実行のラスト2話くらいは特に爽快で清々しく、ぶち上がった。
テンポ感や脚本構成もきっと上手なのだと思う。
1期は要するに脱獄編なので、テーマが「子どもたちの自立」に見えてくる。
子供同士で手を取り合って支配から逃れる様子は現代の家庭からの自立にも重なり普遍的。
そこにいる限り自分たちに自由はない、その事実に気づくとき、愛の目隠しから覚醒し、初めて支配者と対等な存在になって、過去を否定し監獄から出ていく。そのとき信頼できるのは今まで拠り所にしていた大人ではない、自分と同じくか弱くて頼りない仲間だけ。そういうものだもんな。でもエマがさらに年の近い兄弟に啓蒙する役割も引き受けていたのは偉かった。
ママの存在がまた、優しく完璧で手強く恐ろしく敵わない、良い描写だった。かつてこの人も少女だったのだなともうと切ないしレイとの関係性ももっと見たかった。
エマみたいな、この手の無鉄砲ポジティブ正義っ子はジャンプ主人公にありがちな属性、でも女の子だから珍しい。だからいつものごとく、その「頭はいいけどどことなくアホっぽい」感じや理想主義で現実見てない感じに若干腹立った。いい子なんだけど。
レイはイケメンショタという感じで需要がありそうだし、ノーマンは尊い。生きていて。
幸せってなんだろうとか命の重さとはとか考える。
外の世界のこと、どう緻密に作り上げられた世界が広がっているのか、と思うと続きが楽しみ。