ウェスタンガール さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
レクイエム
もう何といっても、オープニングの“シドニア”で心を鷲掴みにされる。
勇ましい軍歌を思わせる曲調に被るのは、衛人操縦士への鎮魂歌である。
ポリゴン・ピクチュアズが作る映像が、冷たい宇宙空間のイメージにぴったりだ。しかしそこには、人の世界、100年の安寧を享受してきた世代宇宙船シドニアが在る。アイキャッチで巡るシドニア百景、守人操縦士たちの営みの温かさ、そのギャップがこの作品の魅力でもある。
そんな彼らが宇宙空間で互いに手を組みブーストを掛ける“掌位(しょうい)”が熱いのだ。
中でも、巨大な輪になって加速する“256機掌位”の美しさと言ったらない。
ふと思い浮かべたものがある。U.S.マリーンズのサイレント・ライフルドリル。軍隊が若者を惹きつけるため、また規律と専門性を体現するためのパフォーマンス。そこには出色の“カッコ良さ”があり、なにか人間が持つ根源的な情動といったものを感じてしまう。怖いことではあるが。
計算されつくした世界観へのこだわりは、原作者が敬愛してやまない“宮崎駿”や“大友克洋”に近いものがある。
ただ最も意識した作品は、なんといっても、現代におけるスペースオペラの金字塔であり、宇宙戦争物の最高傑作である“バトルスター・ギャラクティカ”であることは議論の余地がない。
音のない宇宙空間に繰り広げられる無慈悲な戦いと和太鼓のサウンドが、他者を寄せ付けぬ迫力とリアリティで迫ってくる作品である。
しかしこの作品、“シドニアの騎士”は、そのすべてをリスペクトした上でなお、オリジナリティ溢れる快作であり、日本アニメ史に燦然と輝くGEMであると言って良い。
♪外に出るならマスクしろ♪ 三密換気しろ♪ 撃ち砕け〜♪