takato さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
カフェ飯風なドラゴン料理、肝心の味は…。
本作の特徴は、飯描写に集約されてる気がする。作画はしっかりした緻密なもので、手順を丁寧に述べて、蘊蓄も少々。手が込んでて、見た目も悪くないんだから涎がズビっ!かというと、これが残念ながら大した効果をあげてない。カフェ飯みたいに見た目は良いけど、実質はそれほど伴ってなくて薄い、というか弱いのだ。
本作を見て誰もか思うであろうことは、セルルックCGの出来映えだろう。CGの特性を活かした傑作たちのような感動はないが、下手な手描き作画よりはブレないから悪くない。美術も全般的に悪くない。ただ、印象に残る良い点は残念ながらそれらくらい。
別に、それ以外の要素が駄目駄目なわけじゃないが、みんな薄めで引っ掛かりがなく進行しちゃう感じ。ドラゴンの描写も古典的な感じではないのはええが、それなら「パンツァードラグーン」くらいのセンスを見せて欲しかった。
この物語の物足りなさの原因は、題材と日常系な作風があんまり噛み合ってないせいかと。本作は要するに空の捕鯨アニメなわけだ、それならやはり「白鯨」を挙げるまでもないが、海洋冒険小説なワクワク感、陸から追い出された癖の強いアウトローな船員たちとの濃い人間ドラマが主軸にしたほうが良かったのではなかろうか。
ドラゴン狩りも、船員さんたちとの交流もほとんど障害なしにスルスルいっちゃうからコクに欠けると言わざるをえない(みんな無難に良い人で、人間関係も出来上がってるとこからスタートだし)。花澤さんがポニーテール、クールお姉さんキャラをやってるんだから萌えまくって然るべきなのに、イマイチ盛り上がらない。
せっかく主人公が新人なんだから、王道展開ではあるが、危険な世界に主人公の目を通して入っていく物語で良かったんじゃ?。主人公が船員さんたちと仲良くなる過程で、こちらもキャラと仲良くなり、ドラゴン狩りも主人公と一緒に視聴者も危険だが魅力的な世界に入っていけるようにするべきだったかな。
最後に、こういう作品なら船長はカリスマなのが王道だろう。「白鯨」しかり、「ラピュタ」しかり。本作はその要素も軽い…。日常系って実は諸刃の剣で、題材との相性によっては扱い方が難しいもんだって認識不足な作品という結論。悪い作品ではないだけに勿体無い。